人口シェアは50%、GDPは先進国に遠くおよばず

 以下は、グローバルサウスの声サミットに参加した国々の人口のシェア(125カ国合計)です。世界の二人に一人が、同サミット参加国に住んでいることがわかります。

図:グローバルサウスの声サミット参加国の人口シェア

出所:世界銀行のデータおよびインド外務省の資料をもとに筆者作成

 同サミットに参加した国々の中で人口が多い国は、インド(14億人)、ナイジェリア(2億1,000万人)、バングラディシュ(1億6,000万人)、エチオピア(1億2,000万人)、フィリピン(1億1,000万人)、エジプト(1億人)です(2021年、いずれも概数)。

 インドを除いても、同サミット参加国の人口シェアはおよそ30%です。先進国のグループであるG7(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本)の10%をはるかに凌ぐ(しのぐ)水準です。

 しかし、経済力の点で言えば、G7に遠く及びません。以下は、グローバルサウスの声サミット参加国のGDPシェアです。足元、インドを含めても10%強です。

図:グローバルサウスの声サミット参加国のGDPシェア

出所:世界銀行のデータおよびインド外務省の資料をもとに筆者作成

 同サミットに参加した国々の中でGDP(国内総生産 その国が生み出したモノやサービスの価値)の額が大きい国は、インド(31億ドル)、タイ(5億ドル)、ナイジェリア(4億4,000万ドル)、バングラディシュ(4億1,000万ドル)、アラブ首長国連邦(UAE 4億1,000万ドル)、エジプト(4億ドル)、フィリピン(3億9,000万ドル)です(2021年 いずれも概算)。

 同サミット参加国は、ある意味イメージ通り、発展途上ではあるものの、「数」が圧倒的です。G7を含む西側諸国は、民主的であることを「よし」としています。SDGs(持続可能な開発目標)でも、「誰一人取り残さない」ことを前提にしています。

 このため、西側は、「数」を有するグローバルサウスを、無視することはできません。西側は彼らと「うまく付き合うこと」が求められています。

 同サミットはインドが主導して行われました。また、先述のG77は目下、中国と急接近しています(G78という言葉が生まれつつある)。インドと中国という、二つの非西側の大国が120カ国におよぶ国々を率い、ウクライナ危機で混乱する世界を「数」の利を生かしながら西側と渡り合っている。それが今なのだと考えられます。