市場は今年の減益を経た来年の増益転換を意識

 S&P500の年初来上昇率が+13.9%に拡大した(14日)中、図表3の「十一大業種別株価指数」でセクター別騰落率を見ると好調・不調に濃淡があります。

 年初来騰落率で好調なセクターのベストスリーは「IT(情報技術)」、「コミュニケーションサービス」、「一般消費財・サービス」で、この3セクターのみが年初来騰落率で市場平均(S&P500)をアウトパフォームしています。

 ITセクターの業績見通し(市場予想平均)をみると、2023年は5.7%の減益が見込まれているものの、2024年と2025年は連続して「二桁増益」(利益成長)への回復が予想されています。コミュニケーションサービスや一般消費財・サービスは2023年に続き2024年も2025年も連続増益が見込まれています。

 一方で「エネルギー」は足元までの資源市況低調を受け、2023年、2024年、2025年は連続減益を余儀なくされると予想されています。

「不動産」は昨年3月からの利上げ累積的効果と金融不安の影響で2023年に大幅減益(▲48.3%)を強いられそうですが、2024年以降の業績は戻り基調が見込まれています。業績見通しを視野に入れたセクター(業種)分散投資にあたり参考となりそうです。

 なお、図表3の最下段に示したS&P500ベースの業績見通しを見ると、2023年は減益(▲2.3%)の見込みですが、2024年と2025年は増益基調への転換が見込まれています。

「株式市場は半年から1年先のファンダメンタルズを先取りする」といわれる特性を考慮すると、今年(2023年)後半の相場は「2024年の増益転換」を意識して動いていく可能性があります。株式が短期的に下落する場面では、中長期の視野で押し目買いや積み増し買いで対応したいと思います。

<図表3>市場は2024年以降の業績回復を視野に

*予想PERや予想増減益率はBloomberg集計による市場予想平均EPSに基づく
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年6月14日)

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