「政策金利のピークアウトは株高要因」との経験則

 FRBは13、14日に開催したFOMCで利上げ停止を決定しました。公表された最新のSEP(Summary of Economic Projections:経済・金利見通し)やパウエルFRB議長の記者会見はややタカ派であったため「利上げが終了した」とは断言できません。

 市場では7月や9月での追加利上げを見込む向きもあります。ただ、昨年3月からの利上げサイクルがピーク(ターミナルレート)に近づいていると仮定すると、株式は今年後半から来年に復調が見込めそうです。

 実際、過去の利上げ終了後のS&P500のパフォーマンスは比較的堅調でした。図表2は、1980年以降における7回の政策金利サイクルにおける「利上げ最終日(利上げ打ち止め日)を起点としたS&P500の1年後騰落率」とその平均騰落率(+15.9%)を示したものです。

 全7回の1年後騰落率のうちマイナス(株価下落)となったのは1回(2000年5月)のみで、残る6回全ての騰落率が二桁超の上昇率を記録しました。例えば前回の政策金利サイクルの利上げ最終日は2018年12月19日で、S&P500は翌2019年12月19日まで27.9%上昇しました。

 これらは市場実績であり、将来のリターンを保証するものではありませんが、株式市場が概して「利上げ打ち止め」を好感してきた傾向を示しています。先物市場では、政策金利の軌道が7月や9月にピークアウトし、年末までには小幅利下げに転じる軌道を見込んでいます。

 インフレの減速持続や景気の鈍化次第ではFRBが金融政策の「ピボット」(政策転換)に踏み切ることを視野に入れている思惑を意味します。市場が早晩「FRBの利上げ打ち止め」を意識するであろうことを想定すると、株式が一時的調整を消化しつつも復調トレンドを維持していく可能性が期待できると考えています。

<図表2>利上げの打ち止めは株式復調の支援材料に

(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成