今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)、FOMC利上げ一時停止か

 今週は、今回のFOMCでは利上げは見送りとみられています。これまでの利上げの効果や一連の地方銀行経営破綻が与信に与える影響について、一息入れて検証したい考えを示し、金融引き締めの一時停止を示唆しています。

 経済指標では、4月CPI(消費者物価指数)や4月PPI(卸売物価指数)がともにインフレの鈍化基調を示したことが利上げ休止につながり、また5月雇用統計が強弱入り混じる内容となったこともFRB(米連邦準備制度理事会)に利上げを休止させる根拠を与えたとみています。

 経済指標では、5月財政収支、5月CPI、5月PPI、5月小売売上高、新規失業保険申請件数、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、6月フィラデルフィア連銀景況指数、6月ミシガン大消費者信頼感指数、など重要な指標が予定されています。

先週の動き

 5日(月)は、翌週のFOMCを見極めたいとのことで、NYダウは199ドル安と反落。アップルは一時、高値更新。6日(火)は、主要3指標そろって反発。S&P500種指数とナスダック総合指数は終値では年初来高値更新。NYダウは10ドル高と小反発。

 7日(水)は、NYダウは91ドル高と続伸するも、ナスダックはハイテク株の利益確定売りで171P下落、FOMCを前にカナダ中央銀行は予想に反して利上げしたことを嫌気し下落。8日(木)は、経済指標で労働市場が軟化を示したことで、金融引き締めの長期化懸念が和らぎ長期金利が低下し、NYダウは168ドル高など3指標そろって上昇。

 9日(金)は、FOMCの結果を控え、様子見が強まったものの、おおむね堅調に推移し、NYダウは43ドル高の3万3,876ドルと4日続伸で引け、シカゴの日経先物は125円高の3万2,325円でした。

今週の指標:ドル/円予想レンジは138~140円、7月以降の米追加利上げにらんだドル買いも

 オーストラリアとカナダの中央銀行が先週、金利据え置き予想に反して利上げを決定したことで、他の中央銀行による利上げ圧力の強さが意識されるようになりました。13日発表の米5月CPIが市場予想を上回った場合、13~14日開催のFOMCでは利上げ見送りの可能性が高いものの、今後の追加利上げに備えたドル買い・円売りがやや強まる可能性があります。

 また、6月のFOMCで利上げがされなくともFRBはインフレ抑止に前向きなスタンスを維持すると予想されるため、次回7月のFOMCでは利上げがある可能性があります。ただ、ドル高・円安が急速に進行する局面では日本政府・日本銀行によるドル売り・円買いの市場介入が実施されるとの見方が浮上しており、ドル/円の上値は重くなりそうです。

 そのような状況なので、ドル/円はもみ合いとなりそうです。予想レンジは138~140円。

先週の動き

 週前半から中盤にかけては、ほとんど139~140円の狭い範囲のもみ合いが継続しました。8日(木)は、新規失業保険申請件数が予想を大きく上回り、利上げ観測が後退したことで、ドルが売られ、一時138.81円まで下げました。その後、9日(金)のNY為替市場は、FOMCを控え139.60円まで上昇し、引け値は139.41円でした。