今週の予想:日米欧中銀の金融政策会合、解散総選挙?SQ通過後の外国人買いが焦点

今週は、SQ後の外国人買いと13~14日のFOMCに注目、底堅い動きを想定

 今週の日経平均株価(225種)は、先週末の終値がSQ(特別清算指数)を上回って引けたことで、上昇が継続しやすく底堅さが期待されます。一方で米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)を皮切りに日米欧の各金融当局が政策決定会合を開きます。

 まず、米国では13~14日にFOMCが開催されます。利上げは5月雇用統計を受けて見送られる見方が強いですが、7月会合での利上げ観測は残ることになります。15日のECB(欧州中央銀行)理事会では、高インフレを背景に0.25%の利上げの可能性があり、次回7月会合でも0.25%の引き上げがあり得ます。

 日本銀行では、15~16日に金融政策決定会合があります。日銀を巡ってはETF(上場投資信託)の処分について植田和男総裁が国会答弁で言及したことが相場の変動を招いており、市場は将来的な出口戦略に敏感になっています。

 ただ、今週の金融政策決定会合では、賃上げ効果がまだ統計にはっきりと表れていないこともあり、金融政策の変更はメインのテーマにならないと思われます。

 また、13日には岸田文雄首相が少子化対策の具体的内容の会見を開いて説明します。衆議院解散・総選挙に踏み切るかどうかも注目されます。

 SQを通過すると、次のSQに向けて先物やオプションは新たにスタートするので、日経平均は、いったんリセットして仕切り直しになるという見方もできます。

 そうであれば、外国人投資家は現物と先物を合わせた売買について5月第5週(5月29日~6月2日)まで9週連続で買い越していますが、「先物買い」で利が乗っている外国証券は6月限から9月限にロールオーバー(乗り換え)した可能性があり、SQ後も、これまでのように日本株に対して強気の姿勢で挑むことが想定されます。

 ただ、経験則では、メジャーSQ後の日経平均は調整に向かうことが多いので、開けてみなければ分からないということもあります。今週は相場のレンジは3万1,500~3万2,800円。

今週の指標:日経平均の相場レンジ3万1,500~3万2,800円

 先週は、高値波乱となるものの、SQ通過で切り返し、前週末水準で引けました。基本的に堅調な動きが想定されます。13~14日の米国FOMCが最大の注目となります。利上げ一時停止の見方ですので、利上げを示唆するような発言となれば、いったん下落も考えられます。

 柴田罫線では、先週の高値波乱後、9日(金)の終値3万2,265円で「買転換」が出ています。相場のレンジは3万1,500~3万2,800円。

先週の動き

 前週末6月2日(金)のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は前日比701ドルの大幅高で、シカゴの日経先物が415円高の3万1,965円となっていました。これを受けて6月5日(月)は、買い先行で始まり、週末のSQも絡んで先物主導で大きく買われ、大引けにかけて上げ幅を拡大し、693円高の3万2,217円と高値引けとなりました。

 6日(火)は、利益確定売り優勢で始まり、283円安の3万1,933円まで下げるものの、ここから切り返し、後場には一段高となって289円高の3万2,506円と4日続伸となりました。

 7日(水)は、前場は201円高の3万2,708円まで上昇したところで反落し、一時514円安の3万1,992円と3万2,000円を割り込みましたが、前引けは3万2,039円でした。後場は先物売りの再燃で一段安となり593円安の3万1,913円と安値引けとなりました。

 8日(木)も前日の大幅下落で売り先行となりましたが、押し目を拾う動きから一時プラスになるものの、後場には先物売りで493円安の3万1,420円まで下げ、終値は272円安の3万1,641円でした。

 週末9日(金)は、前日の米国市場はNYダウが上昇し、これを受けて日経平均は先物主導で上げ幅を拡大し終値は623円高の3万2,265円と3日ぶりの大幅反発で引けました。6月SQ値は3万2,018円でした。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)、FOMC利上げ一時停止か

 今週は、今回のFOMCでは利上げは見送りとみられています。これまでの利上げの効果や一連の地方銀行経営破綻が与信に与える影響について、一息入れて検証したい考えを示し、金融引き締めの一時停止を示唆しています。

 経済指標では、4月CPI(消費者物価指数)や4月PPI(卸売物価指数)がともにインフレの鈍化基調を示したことが利上げ休止につながり、また5月雇用統計が強弱入り混じる内容となったこともFRB(米連邦準備制度理事会)に利上げを休止させる根拠を与えたとみています。

 経済指標では、5月財政収支、5月CPI、5月PPI、5月小売売上高、新規失業保険申請件数、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、6月フィラデルフィア連銀景況指数、6月ミシガン大消費者信頼感指数、など重要な指標が予定されています。

先週の動き

 5日(月)は、翌週のFOMCを見極めたいとのことで、NYダウは199ドル安と反落。アップルは一時、高値更新。6日(火)は、主要3指標そろって反発。S&P500種指数とナスダック総合指数は終値では年初来高値更新。NYダウは10ドル高と小反発。

 7日(水)は、NYダウは91ドル高と続伸するも、ナスダックはハイテク株の利益確定売りで171P下落、FOMCを前にカナダ中央銀行は予想に反して利上げしたことを嫌気し下落。8日(木)は、経済指標で労働市場が軟化を示したことで、金融引き締めの長期化懸念が和らぎ長期金利が低下し、NYダウは168ドル高など3指標そろって上昇。

 9日(金)は、FOMCの結果を控え、様子見が強まったものの、おおむね堅調に推移し、NYダウは43ドル高の3万3,876ドルと4日続伸で引け、シカゴの日経先物は125円高の3万2,325円でした。

今週の指標:ドル/円予想レンジは138~140円、7月以降の米追加利上げにらんだドル買いも

 オーストラリアとカナダの中央銀行が先週、金利据え置き予想に反して利上げを決定したことで、他の中央銀行による利上げ圧力の強さが意識されるようになりました。13日発表の米5月CPIが市場予想を上回った場合、13~14日開催のFOMCでは利上げ見送りの可能性が高いものの、今後の追加利上げに備えたドル買い・円売りがやや強まる可能性があります。

 また、6月のFOMCで利上げがされなくともFRBはインフレ抑止に前向きなスタンスを維持すると予想されるため、次回7月のFOMCでは利上げがある可能性があります。ただ、ドル高・円安が急速に進行する局面では日本政府・日本銀行によるドル売り・円買いの市場介入が実施されるとの見方が浮上しており、ドル/円の上値は重くなりそうです。

 そのような状況なので、ドル/円はもみ合いとなりそうです。予想レンジは138~140円。

先週の動き

 週前半から中盤にかけては、ほとんど139~140円の狭い範囲のもみ合いが継続しました。8日(木)は、新規失業保険申請件数が予想を大きく上回り、利上げ観測が後退したことで、ドルが売られ、一時138.81円まで下げました。その後、9日(金)のNY為替市場は、FOMCを控え139.60円まで上昇し、引け値は139.41円でした。 

先週の結果:相場上下に動くも前週末上回る

先週は、週末にメジャーSQを控え、荒い動きとなるが、終値では前週末水準へ

 先週は、全体トレンドとしては強気でしたが、ハイテク株の半導体関連が失速すれば、日経平均は目先、調整があってもおかしくないとしました。ポイントとしては、6月1日に米国の債務上限問題が佳境を迎えるので、与野党の合意ができればNYダウが反発に転じ、日経平均のさらなるサポートになるとしました。

 結局、米国市場は、6月1日(木)は、前日に債務上限引き上げ案が下院で可決され、この日、上院でも可決されたことで、米国債の債務不履行が回避され、2日(金)は、5月雇用統計も市場予想を上回ったこともあり、NYダウは701ドル高の3万3,762ドルと大幅続伸となり、シカゴの日経先物は415円高の3万1,965円となりました。

 これを受けて、週前半の日経平均は、5日(月)は、693円高の3万2,217円と高値引けとなり、6日(火)は、3万2,534円まで上昇して、終値では289円高の3万2,506円と4日続伸し、バブル後の高値更新が続きました。

 しかし、7日(水)になると、201円高の3万2,708円とザラ場で高値更新となったあと、先物主導で利益確定売りから急落し、後場、持ち直す場面もありましたが、大引けにかけて下げ幅を拡大する流れとなり593円安の3万1,913円と安値引けとなりました。

 一本調子の上げはいったん終了した形となり、ここからは上下動をくり返しながら落ち着きどころを探る展開が想定されました。8日(木)も続落となり、後場には493円安の3万1,420円まで下げましたが、売り一巡後は下げ渋り272円安の3万1,641円でした。

 9日(金)は、前日の米国市場では、新規失業保険申請件数の増加を受けて、10年債利回りが低下したことなどが追い風となり、主要3指標そろって上昇し、NYダウは4日続伸、S&P500は年初来高値更新、ナスダックは前週末水準を回復しました。

 これを受けて、日経平均は先物主導で上げ幅を拡大し、大引け近くには662円高の3万2,304円まで上昇して、終値は623円高の3万2,265円でした。オプション6月限SQは3万2,018円となり、終値ではSQ値を上回って引けました。