米国の行き過ぎたインフレは株にマイナス

 米国のインフレ率(CPI:消費者物価指数の前年同月比上昇率)が昨年6月に一時9.1%まで上昇し、オイルショック以来40年ぶりの高水準になったことが、米景気にマイナス材料となりました。

 その後米インフレはピークアウトし、2023年4月には4.9%まで低下しましたが、まだFRB(米連邦準備制度理事会)が理想的と考える2%を大幅に上回っています。インフレを鎮静化させるために、FRBが利上げを続ける可能性があることが米景気および株価に不安材料となっています。

米国のインフレ率(消費者物価総合指数の前年比上昇率)年次推移:1980~2023年(4月)

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米国の議論を聞いていると、「インフレは株価にマイナス」というイメージにとらわれがちです。実際は逆です。インフレは株価にプラスです。「行き過ぎたインフレ」が一時的に株価にマイナスとなることがあるだけで、インフレそのものは株価にプラスです。

 インフレ率が上昇すると、名目GDP(国内総生産)の伸びが高くなります。企業業績・株価は、名目GDPの伸びに連動するので、インフレ率の上昇は株価にプラスです。日本もインフレ率の上昇で、名目GDPの伸びが高まっています。それが、日本の企業業績・株価に追い風となっています。