今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、上下院で債務上限を停止させる「財政責任法案」が可決され、米国のデフォルトが回避されたことで、債務上限問題への警戒感が後退し、先週末は買い戻しの動きが見られたものの、この勢いが続くとは考えにくいと思われます。

 6月13~14日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えていることで、今週は様子見が強まりそうです。また金融政策を左右する経済指標も発表はなく、材料に乏しく動きづらい展開となりそうです。

 経済指標では、先日発表の合った4月製造業受注、4月耐久財受注、5月サービス業PMI(購買担当者景気指数)の他に、5月ISM非製造業景況指数などが予定されています。

先週の動き

 前々週末の5月26日(金)は、債務上限問題の進展期待やエヌビディアの好決算を受けて、NYダウは6日ぶりに大幅反発し、ナスダック総合指数は5日続伸と主要3指標はそろって大幅上昇でした。

 29日(月)はメモリアルデーで休場。30日(火)のNYダウは、債務上限問題は合意するものの、議会採決は不透明で反落。ナスダックはエヌビディアの上昇で続伸。31日(水)は、引け後に債務上限問題の採決を控え、また中国の経済指標の悪化で様子見から3指標そろって下落。

 6月1日(木)は、前日に債務上限引き上げ案が下院で可決し、米国のデフォルト懸念が後退し、NYダウは+153ドルと反発し、S&P500種指数とナスダックは昨年8月以来の戻り高値となりました。

 週末2日(金)は、前日に債務上限引き上げ法案が上院を通過し、米5月雇用統計が市場予想を上回り、インフレ低下の兆しもみえたことで、+701ドルの3万3,762ドルと大幅続伸となりました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、6月13~14日開催のFOMCに向け、フィラデルフィア連邦準備銀行総裁は利上げの見送りを支持し、ジェファーソンFRB(米連邦準備制度理事会)理事は政策の据え置きについて政策金利のピークと解釈すべきでないと発言しました。

 しかし、今週発表の経済指標が市場予想を上回る内容だと追加利上げへの期待は高まり、ドル買いを誘う動きとなります。 

 経済指標では、5日発表の5月ISM非製造業景況指数は前月から改善の見通しで、好不況の境目である50を上回れば追加利上げを後押しする材料となります。

 債務上限停止法案が上下両院で可決されたことでデフォルト懸念が後退し、リスク回避のドル売り・円買いは縮小し、日本銀行による金融緩和政策の堅持が見込まれていることから、ドル・円は底堅い動きとなりそうです。予想レンジは138~142円を想定。

先週の動き

 先週は、米国の債務上限問題が解決に向かっていたことで、景気後退懸念も後退し、ドルが堅調な動きとなり、138.5~140円の狭いレンジで140円を突破する動きとなっていました。

 週末2日(金)のドル/円は、138.74円まで下落後、140.07円まで上昇し、139.97円で引けました。米国の5月雇用統計は、非農業部門雇用者数は大きな増加、一方、失業率は上昇と強弱マチマチな内容となりましたが、米金利の上昇により、ドル買い優勢となりました。