今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、イエレン財務長官は債務上限措置が6月5日までに尽きるとし、従来の1日から期限を若干延長し、交渉に時間の余裕ができました。

 ただ、交渉が合意に近づいていると伝わる一方、共和党が政府の歩みよりの乏しさに言及するなど、先行き不透明感はくすぶっています。債務不履行懸念が強まった場合は上値が抑制されることになり、売り材料になる可能性があります。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の早期の利下げ予想から一転して、追加利上げ観測が高まったことも株式相場にとってはマイナスとなります。逆に、債務上限引き上げが成立すれば相場の上昇に拍車をかけます。

 今週の経済指標としては、5月消費者信頼感指数、5月ADP雇用統計、5月ISM製造業景況指数、5月雇用統計などが予定されています。重要な経済指標の発表がありますので注目となります。

先週の動き

 債務上限問題が重しとなり続落が続きました。22日(月)は▲140ドルの3万3,286ドル、23日(火)は▲231ドルと3日続落となりました。24日(水)は、▲255ドルの3万2,799ドル、25日(木)は3万2,586ドルまで下げたところで、債務上限問題で与野党の歩み寄りが出て、一時+70ドルまで反発するものの、終値は▲35ドルと5日続落となりました。

 週末26日(金)は、債務上限引き上げ問題で進展がみられ、NYダウは+328ドルとなり、つれて3指標そろって大幅上昇となりました。債務上限問題は6月5日までの合意ができるかどうかがポイントですが、できればNYダウはここから上昇することになります。

今週の指標:ドル/円

 今週は、FRBによる追加利上げについては、今後の経済指標次第とみられ、リスク選好的なドル買い・円売りはある程度、抑制される可能性があります。

 ただ、インフレ圧力が短期間で弱まることは期待できないとの見方が多く、金融政策をにらみながらドル売り・円買いがただちに拡大する可能性も低いとみられています。今後の経済指標の内容次第では、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ休止観測は後退すると思われます。

 債務上限問題についてはバイデン政権と野党・共和党との協議はある程度進展していますが、いくつかの問題は解決されていないため、6月初旬ごろの債務不履行が警戒されています。債務問題の不透明感によりドル売りが強まる可能性は残されていますが、国としてもデフォルトになると与党や野党もなく国が混乱することになるので最終的に双方が合意に達すると思われます。

 債務上限の引き上げが実現された場合はドル買いが活発化してさらに円安が進みます。予想レンジは138~142円を想定。

先週の動き

 週前半の22日(月)~24日(水)の動きは、FRBの利上げ継続の思惑からドルが反発し、138~139円台の動きとなりました。26日(金)には、4月コアPCE(個人消費支出)価格指数の伸びが予想外に拡大したため、6月のFOMCでの利上げの確率が高まり、長期金利上昇に伴うドル買いが加速しました。

 クリーブランド連邦準備銀行総裁は、もう少し利上げが必要になると発言。26日のNY為替市場で、ドル/円は139.65円から140.73円へ上昇し140.62円で引けました。