今週の予想

今週は、3万1,000円水準を中心としたもみあいへ

 先週は、週始めに日経平均株価は一時、終値で33年ぶりの3万1,000円台にのせたことで、高値警戒感が浮上し、そこに米債務上限問題に加え、中国コロナ再拡大もあって、24日(水)には、3万682円で引けました。

 しかし、外国人買いの優勢が止まらず、エヌビディアが急騰し、半導体物色が広がり、さらに半年ぶりの140円台の円安が相場の追い風となって週末は一時3万1,101円まで上昇しました。

 これに引き続いて週末の米国株式の大幅高と円安進行でシカゴ日経先物が3万1,500円で引けていることで、どこまで今週は値を伸ばせるかがポイントとなります。

 先週も相場全体としては、下落銘柄が多く、ハイテク、半導体物色の結果としての日経平均の指数の上昇ですので、半導体物色の機運がどこまで続くのかが注目となります。全体トレンドとしては強気ですが、半導体が失速すれば日経平均は3万円水準までの調整があってもおかしくありません。

 先週末、ダウ工業株30種平均は6日ぶりに反発しましたが、6月5日には債務上限問題が佳境を迎えます。合意できれば調整を続けてきたNYダウが上昇に転じて、日経平均のサポートになる可能性があります。

 ハイテク株、半導体株に急騰の反動が出てくることになりますので、債務上限問題への同意が成立すれば景気敏感株や消費関連株の資金回帰が出てきます。その反動をこなしていけるかどうかが注目となります。

 これまで上値の重かったNYダウが見直されるタイミングでは、短期的に、これまで急騰してきたハイテク株や半導体の利益確定売りを招く可能性があり、日本の大型株や半導体も連動するかもしれません。

 そうなるとこの上昇局面で出遅れていた非鉄金属や鉄鋼、海運などの景気敏感株に見直し買いが入る可能性があります。日経平均の予想レンジは3万500~3万1,500円とします。

今週の指標:日経平均株価

 先週末の米国株式はNYダウが6日ぶりに反発し、3指標そろって大幅高となりました。為替も1ドル=140円台の後半の円安となったことで、シカゴ日経先物は+540円の3万1,500円となっており、今週の日経平均のレンジは3万500~3万1,500円となります。債務上限問題の合意への期待が続けば3万1,000円水準を安値に上向きのもみあいとなりそうです。

先週の動き

 先週は3万円水準で一服するところと市場関係者はみていました。しかし予想を大きく超えた上昇となったことで基本は様子見とし、さらなる上昇は、米株式と為替をみながらの外国人投資家の動きによるとしました。

 ただ、目先は過熱感がさらに高まっていることで、何かきっかけがあれば、この上昇は先物主導のため利益確定売りで下げる局面が出てくるとしました。

 5月22日(月)は、+278円の3万1,086円と8日続伸の高値引けとなり、33年ぶりの3万1,000円台回復となりました。

 23日(火)は▲129円と反落し、24日(水)は、▲275円の3万682円と続落しました。しかし25日(木)には、+118円の3万801円と反発し、週末26日(金)は、ナスダック総合指数の上昇を受けて半導体が買われ+115円の3万916円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、イエレン財務長官は債務上限措置が6月5日までに尽きるとし、従来の1日から期限を若干延長し、交渉に時間の余裕ができました。

 ただ、交渉が合意に近づいていると伝わる一方、共和党が政府の歩みよりの乏しさに言及するなど、先行き不透明感はくすぶっています。債務不履行懸念が強まった場合は上値が抑制されることになり、売り材料になる可能性があります。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の早期の利下げ予想から一転して、追加利上げ観測が高まったことも株式相場にとってはマイナスとなります。逆に、債務上限引き上げが成立すれば相場の上昇に拍車をかけます。

 今週の経済指標としては、5月消費者信頼感指数、5月ADP雇用統計、5月ISM製造業景況指数、5月雇用統計などが予定されています。重要な経済指標の発表がありますので注目となります。

先週の動き

 債務上限問題が重しとなり続落が続きました。22日(月)は▲140ドルの3万3,286ドル、23日(火)は▲231ドルと3日続落となりました。24日(水)は、▲255ドルの3万2,799ドル、25日(木)は3万2,586ドルまで下げたところで、債務上限問題で与野党の歩み寄りが出て、一時+70ドルまで反発するものの、終値は▲35ドルと5日続落となりました。

 週末26日(金)は、債務上限引き上げ問題で進展がみられ、NYダウは+328ドルとなり、つれて3指標そろって大幅上昇となりました。債務上限問題は6月5日までの合意ができるかどうかがポイントですが、できればNYダウはここから上昇することになります。

今週の指標:ドル/円

 今週は、FRBによる追加利上げについては、今後の経済指標次第とみられ、リスク選好的なドル買い・円売りはある程度、抑制される可能性があります。

 ただ、インフレ圧力が短期間で弱まることは期待できないとの見方が多く、金融政策をにらみながらドル売り・円買いがただちに拡大する可能性も低いとみられています。今後の経済指標の内容次第では、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ休止観測は後退すると思われます。

 債務上限問題についてはバイデン政権と野党・共和党との協議はある程度進展していますが、いくつかの問題は解決されていないため、6月初旬ごろの債務不履行が警戒されています。債務問題の不透明感によりドル売りが強まる可能性は残されていますが、国としてもデフォルトになると与党や野党もなく国が混乱することになるので最終的に双方が合意に達すると思われます。

 債務上限の引き上げが実現された場合はドル買いが活発化してさらに円安が進みます。予想レンジは138~142円を想定。

先週の動き

 週前半の22日(月)~24日(水)の動きは、FRBの利上げ継続の思惑からドルが反発し、138~139円台の動きとなりました。26日(金)には、4月コアPCE(個人消費支出)価格指数の伸びが予想外に拡大したため、6月のFOMCでの利上げの確率が高まり、長期金利上昇に伴うドル買いが加速しました。

 クリーブランド連邦準備銀行総裁は、もう少し利上げが必要になると発言。26日のNY為替市場で、ドル/円は139.65円から140.73円へ上昇し140.62円で引けました。

先週の結果

先週は、米株と円安にサポートされ、一時33年ぶりの3万1,000円台回復

 先週の予測では、3万円水準を超えたところでは、一服するところとしましたが、米国株高、ドル高・円安にサポートされ、外国人買いの優勢が止まらず、5月22日(月)に1990年7月以来、33年ぶりに3万1,000円台を回復しました。

 そして翌日の23日(火)も、3万1,352円まで上昇し、終値では▲129円の3万957円と9日ぶりに反落しましたが、どちらかというと一服したという感じでしょう。

 目先は、過熱感はさらに高まっていることから、23日(火)の▲129円に続き、24日(水)は、一時▲390円の3万566円まで下げるも、下げ渋り▲275円の3万682円と続落しました。

 しかし、特に悪材料が出たわけではないので、25日(木)は反発し、+118円の3万801円でした。

 週末の26日(金)は、エヌビディアの急伸でナスダックは3日ぶりに大幅反発したことや、米国の利上げ思惑からドルが買われ、140円台まで円安進行となり、輸出関連株、特に半導体が買われ、日経平均は一時+300円の3万1,101円まで買われたものの、大引けでは+115円の3万916円と上げ幅を縮小しました。

 トピックスは▲0.31Pの2,145Pですので、輸出関連の値ガサ株が指数の上昇を支えていることになります。全業種(33種)のうち8業種が値上がりし、25業種が値下がりという輸出関連に偏った売買が行われています。

 週末の米株式は、NYダウは+328ドル、ナスダックは+277P、S&P500種指数は+54Pと3指標そろって大幅高となりました。物価上昇が続き、FRBによる利上げ長期化が意識され、ドルが140.73円まで買われ、エヌビディアの決算を好感する流れが続き、債務上限問題への進展期待が相場を押し上げました。

 為替の円安が一段と進行したことで、シカゴ日経先物は+540円の3万1,500円と急伸しました。