ウクライナ危機鎮静化が銀行不安解消のカギ

 西側自らがマイナス要素を作り出している面もあります。西側の中央銀行が行っている「利上げ」です。「利上げ」は、個人や企業の資金調達や債券の運用を難しくします(利上げが、債券運用やIT企業への資金供給を積極的に行っていたことが、シリコンバレーバンクの破綻の一因と報じられている)。

 ですが、西側の中央銀行は、上げ幅を縮小することはできても、利上げをやめることはなかなかできません。なぜなら利上げは、制裁に並ぶ、直接的な人的・物的被害を出さずにロシアなどの非西側にあらがう手段の一つだからです。

「利上げ」には、米国国内やEU(欧州連合)域内の雇用や物価情勢を最適化する施策に見えますが、コモディティ価格の上昇を抑制的にして、非西側(特に戦費増大をもくろむロシア)の利益が拡大することを防ぐ意味があります。こうした意味を持つ策をやめることは難しいでしょう。

 どうすれば、西側は「二つの出し渋り」から逃れることができるのでしょうか。出し渋りをする口実を消滅させるには、ウクライナ危機を終わらせることが欠かせないでしょう。

「西側が脱炭素をビジネス利用すること」は、化石燃料を生産して生計を立てている国にとって、好ましいことではないでしょう。二酸化炭素の排出量を削減し、住みやすい地球を取り戻すことには賛成であっても、西側が化石燃料を否定し、電化などで新製品を作り、ビジネスを加速させればさせるほど、産油・産ガス国が位置する非西側のビジネスが停滞してしまうためです。

 それでいて、西側はエネルギーなどのコモディティ価格を下げることを要求しているわけです。非西側は、数量と単価の両面で窮地に追いやられているのです。西側が「脱炭素」を利用してもうかればもうかるほど、非西側の収益は落ち込んでしまうわけです(「脱炭素」が利益の不均衡を生んでしまっている)。

 ウクライナ危機を終わらせるためには、「西側が脱炭素をビジネス利用しないこと」が必要であると、筆者は考えています。地球環境を無償の精神で改善することが、「脱炭素」をめぐる西側と非西側の溝を埋め、やがては同危機を鎮静化に向かわせる一助になると考えます。そうなるまでは「二つの出し渋り」起因の混乱は終わらないと考えます。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

長期:純金積立、投資信託(当社では、楽天ポイントで投資信託を購入することが可能)

純金積立・スポット購入
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド

中期:関連ETF、関連個別株

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
バリック・ゴールド(GOLD)
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アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコネバダ・コーポレーション(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)

短期:商品先物、CFD

国内商品先物
海外商品先物
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