ペアトレードの手順

  1. 「買い銘柄」を決めます。これはある業種の中でも、比較的業績の見込みが良好で割安な銘柄を選びます。比較的というのがミソで、同業他社より優れているならば、そのあと自身の株価が上がるか下がるかは関係ありません。
  2. 買い銘柄と同業種の「空売り銘柄」を選びます。こちらは逆に、同業種の中でもパッとしない銘柄や業績不振で割高となっている銘柄を選びます。
  3. 買い銘柄を現物で買い、空売り銘柄を空売り(信用取引にて新規で売り建て)します。なるべく同じ金額になるようにします。銘柄数が買い銘柄と空売り銘柄で異なっていても大丈夫ですが、金額が同程度でないとうまく機能しません。

 このあと、買い銘柄と空売り銘柄は同じ業種なので、たいてい似た値動きをします。そうすると以下のような状況になるため、株価の動きの方向にかかわらず、値動きの差分の利益を狙えるという仕組みです。

a)この業種全体の株価が上昇していった場合

 空売り銘柄は損失となりますが、空売り銘柄の上昇率よりも買い銘柄の上昇率の方が高ければ、それ以上の利益を買い銘柄から得られます。

b)    この業種全体の株価が下落していった場合

 買い銘柄は損失となりますが、空売り銘柄がそれ以上の下落率ならば、買い銘柄の損失を上回る利益を空売り銘柄から得られます。

 このときもし同業種でそろえていないと、値動きの方向がそろわず、普通に個別銘柄を買って空売りするのと同じ状態になってしまう場合が多いと考えられます。もちろん業種以外でも、バリュー株かグロース株かなどの基準も考えられますが、いずれも「似た値動きをする」ことを条件に組み合わせることで、上昇か下落かにかかわらず利益を狙える状況をつくれます。

 また、買い銘柄と空売り銘柄を決める基準ですが、もちろん正解は存在しないものの、例えば同業種への同じ逆風の中でもコスト削減などで業績の改善が見込まれる銘柄を買い銘柄としたり、逆にそうした業績見込みで大きな差がないにもかかわらずPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)など株価指標で大きな乖離(かいり)が生じている場合、割安な方を買い、割高な方を空売りしたりする判断が一般的だと思われます。