長期視点の金(ゴールド)価格上昇要因

 ここまで、「積立」投資においては、価格が下落・低迷することで、収益に大きな影響を与える「保有数量」を効率的に増やすことができると、述べました。ここからは、増やした数量を効率よく収益に変えるために欠かせない要素、「積立」投資のもう一つの生命線である、「最終価格」について、述べます。

 先ほど、図:積立シミュレーション(3パターンの累積資産額)で、2063年から、(3)大暴落パターンの資産の額が急激に増加していった様子を確認しました。価格反発が大きな要因です。

 三つのパターンいずれも、2063年からの10年間で「2,000円」、上昇することをシミュレーションに織り込みましたが、この間、それまで価格急落・低迷によって保有数量が大きく増加していた(3)大暴落パターンが、最も大きく資産の額を増やしました。

「最終価格」の上昇も、「積立」投資を効率化させるために、欠かせません。金(ゴールド)相場に、長期視点の価格上昇要素はあるのでしょうか。以下は、筆者が考える金(ゴールド)相場の動向を左右し得る、七つのテーマです。

図:金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ

出所:筆者作成

 七つのうち、中長期の「中央銀行」、超長期の「見えないリスク」が、長期視点の「最終価格」を押し上げる要因になると、筆者は考えています。今月、ヨーテボリ大学(スウェーデン)のV-Dem研究所が公表した、「自由民主主義指数」の最新版(2022年版)は、これらの二つのテーマに関わる重要なデータです。

 行政の抑制と均衡、市民の自由の尊重、法の支配、立法府と司法の独立性など、自由・民主主義的な傾向を示す複数の側面から、このデータは計算されています。0と1の間で決定し、0に近ければ近いほど、その国は民主的な傾向が弱い、1に近ければ近いほど、その国は民主的な傾向が強いことを示します。