積立の収益は「保有数量」×「最終価格」

 以下は、保有数量の推移です。最も大きな収益を上げた(3)大暴落パターンは50年間で3,700グラム超(3.7キログラム超)もの金(ゴールド)を積み上げました。一方、最も少なかったのは(1)暴騰パターンの600グラム超(0.6キログラム超)でした。

(1)暴騰パターンの最終的な保有数量は、(3)大暴落パターンの6分の1弱、(2)暴落パターンの半分強にとどまりました。「保有数量の差」が、資産の額の差を拡大させる大きな要因になりました。

図:積立シミュレーション(3パターンの累積保有数量) 単位:グラム

出所:筆者作成

 以下は、「積立」投資を効率化させるために必要な条件と、それらを満たしうる銘柄の特徴です。

図:積み立て投資を効率化させるための二つの必須条件とそれらを満たしうる銘柄の特徴

出所:筆者作成

「積立」投資の収益は、基本的に「保有数量」×「最終価格」で計算します。これら二つの値を大きくすることが、収益拡大に必要なのです。

 大台超えを繰り返しながら、史上最高値を更新し続けた(1)の暴騰パターンの資産の額が、下落後の価格が取引開始時に戻らなかった(2)暴落パターンや、史上最安値水準に沈み、一時的に歴史的な長期低迷を強いられた(3)大暴落パターンの資産の額の方が大きくなったのは、保有数量に圧倒的な差が生じたためだったことは、先に述べたとおりです。

「積立」投資は、いかに保有数量を増やすか、そしていかに、増やした数量を効率よく収益に変えるか、という投資です。「価格だけ」に注目してはいけないのです。(冒頭で紹介した会話の際、会話の主にこの点に重点を置いて話をした)

「積立」であれば、「高いから買えない」ことはないと筆者は考えています。「今が高い」は、それだけ下落余地が大きく、今後、暴落が起きる可能性がある、つまりそれは、「積立」投資の生命線の一つである「保有数量」を積み上げるチャンスが広がっている、と言い換えることができるでしょう。