「もしバフェ」候補5銘柄(2023年2月7日時点)
コード | 銘柄名 | 株価 :円 |
配当 利回り |
PER :倍 |
PBR :倍 |
1株当たり 配当金 :円 |
---|---|---|---|---|---|---|
1605 | INPEX | 1,398 | 4.3% | 4.8 | 0.5 | 60 |
5020 | ENEOS HD | 460.0 | 4.8% | 4.3 | 0.5 | 22 |
6758 | ソニーグループ | 12,055 | 0.6% | 17.1 | 2.2 | 75 |
8306 | 三菱UFJ FG | 938.1 | 3.4% | 11.3 | 0.7 | 32 |
9433 | KDDI | 3,968 | 3.4% | 12.6 | 1.7 | 135 |
出所:各社決算資料より作成。株価・配当利回りは2月7日時点。配当利回りは、1株当たり年間配当金(今期会社予想)を株価で割って算出。PERは株価を1株当たり利益(今期会社予想)で割って算出。今期とは、INPEXは2022年12月期、その他は2023年3月期のこと |
上記5銘柄は、バフェットの投資基準になるべく合うと考えるものを、筆者が選別したものです。以下、コメントします。
【1】INPEX(1605)
日本最大の原油・天然ガス生産・開発企業で、原油・ガスの2021年の生産は、同社資料によると日量58万4,000バレル(ガスは熱量で原油換算)、2021年末の保有埋蔵量は63億1,000バレルに達しています。海外20カ国に権益を有します。海外権益は、オーストラリア・インドネシア・中東などの友好国にあります。
長い年月をかけて開発を進めてきたオーストラリア(イクシス)・インドネシア(アバディ)での先行投資が実り、今後、生産量や確認埋蔵量が拡大する局面に入ると予想されます。日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要な企業です。
にもかかわらず、株価はPER4.8倍、PBR0.5倍と、極めて低い評価に据え置かれています。バフェット氏が重視する「バリュー株投資基準」を満たすと考えています。実際、バフェット氏は近年、INPEXと同様に割安に据え置かれている欧米のエネルギー資源株に積極投資しています。もし日本株のファンドマネージャーならば、INPEXは買う対象になると思います。
【2】ENEOS HD(5020)
ENEOS(エネオス)というと、ガソリンスタンドを思い浮かべる人が多いと思います。ガソリン販売は、同社のたくさんあるビジネスの一つにすぎません。実際は、海外での石油・天然ガスの開発生産事業、石油精製、銅鉱山経営、水素サプライチェーンの構築、次世代エネルギー開発事業など、幅広く展開する、エネルギー総合企業です。
日本のエネルギー安全保障にとって重要企業であるにもかかわらず、株価指標で割安です。INPEXと同様に、バフェット氏のバリュー株投資基準を満たすと考えます。
【3】ソニーグループ(6758)
日本のIT大手はいずれも、SNS・ITサービス分野では米国のGAFAM(グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)との競争に敗れ、世界標準を取ることはできませんでした。かつて日米の検索エンジンでトップだったyahoo(Zホールディングスの検索エンジン)はグーグルとの競争に敗れ、日本だけのマイナー検索エンジンとなりました。
その中にあってゲーム分野だけは、今でも日本勢が支配しています。任天堂とソニーは、ゲームを中心に世界で勝負できるIT成長企業として高く評価できます。マイクロソフトがゲームに参入しましたが、任天堂・ソニーの有力なライバルとはなっていません。グーグルもゲームに参入しましたが、撤退しました。
20世紀のソニーは、テレビ・音楽プレーヤーなど音響機器のハードで稼ぐ成長企業でした。ところが、21世紀に入り、ビジネスモデルを完全に転換しています。今は、ゲーム・音楽・映画・金融などのソフトで稼ぐ企業に転換しています。世界で成長する日本版IT企業、日本版GAFAMとして、評価余地は大きいと考えています。
ところで、バフェット氏はソニーを評価するでしょうか? 日本版GAFAMとは言っても、バフェット氏は、そもそもアップルを除けば、GAFAMを評価して買うことはありませんでした。
私は、今のソニーは、バフェット氏が投資を始めたころ、2017~2018年のアップルに似ていると思います。バフェット氏が投資を始めたころ、アップルはIT企業として評価はされていませんでした。そのために、PERなどのバリュエーションで低評価でした。製造業と見られていたことが、低評価の理由でした。
アップルは、かつてソニーのライバル製造業でした。ソニーが一世風靡(ふうび)した「ウォークマン」は、アップルの「iPod(アイポッド)」との競争に敗れて、衰退しました。アップルには、IT企業というよりは、携帯電話を作っている製造業のイメージが強かったと言えます。それが株式市場の低評価につながっていました。
ところが、実際には、アップルは製造業ではありませんでした。同社のスマホ「iPhone」は、部品は日本、組み立ては中国といわれ、アップルがやっているのは開発やマーケティングだけです。今、株式市場でアップルはIT成長企業として評価されています。
任天堂は、ゲームソフトで世界を支配している日本企業として、PERなどのバリュエーションで高く評価されています。ところが、ソニーはまだテレビなどを作っている製造業のイメージが強いため、任天堂と比べると株式市場での評価は低くなっています。
そこが、バフェット氏が評価するポイントと思います。もし、バフェット氏がソニーの収益構造の変化に詳しいならば、投資対象に入るのではないかと考えます。
【4】三菱UFJ FG(8306)
銀行業は、日本銀行のイールドカーブコントロール(10年をゼロ近辺に固定する金融政策)によって、これまで収益に大きなダメージを受けてきました。最近、日銀が10年金利の0.5%までの上昇を容認したことは、国内商業銀行業務の利ザヤ改善に大いに貢献します。
それを好感して株価は最近大きく上昇しました。ただし、上昇後でも、株価指標から見て、同社は割安と判断できます。バフェット氏のバリュー投資基準を満たすと考えます。
バフェット氏は、リーマンショックのときに、過度に売られた米国の金融株を買い、その戻りで大きなリターンを得ています。収益基盤がしっかりしている割に、株価が割安な日本のメガバンク株は、バフェット氏の投資基準にかなうと、私は考えます。
【5】KDDI(9433)
携帯電話事業の競争激化懸念で株価は上値が重くなっています。ただし、KDDIは、世界景気に影響されずに安定成長を続け、2023年3月期で21期連続の増配を予定しています。ケータイ事業のほか、さまざまなITサービス(ライフデザイン事業)を手がけ、これからも安定高収益を維持していくと予想しています。
バフェット氏は、インフラを支配して安定的に利益を稼ぐ企業を好みます。KDDIがバフェット氏の基準を完全に満たす「インフラ支配企業」とは言えません。それでも、バフェットが好む条件の一部を満たす企業として、私が考える「もしバフェ」に選定しました。
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