2022年は日本でも巨額のインフレ税が徴収された

 2022年12月時点で、日本のインフレ率(CPI[消費者物価指数]総合指数の前年同月比上昇率)は4.0%まで上昇しました。ということは、日本でも事実上のインフレーション・タックスが徴収されたのと同じ効果が出ています。

 国民が保有する金融資産、中でも利息がほとんどつかない現預金は約1,000兆円あります。4%のインフレが進んだことにより、その購買力は4%目減りしました。つまり、1,000兆円×4%=40兆円のインフレーション・タックスが徴収されたのと、同じ効果があります。

 一方、インフレにより税収は順調に拡大しています。財務省の発表によると、2022年11月の一般会計税収は前年同月比21.9%増の9兆9,950億円となりました。

 増税は政治的に実現困難ですが、インフレによって国民の保有資産を目減りさせながら、税収を増やしていくことは、比較的簡単にできてしまいます。巨額の政府債務は、最終的にはインフレによって解消していくしか方法がないのではないでしょうか。

 日銀が長年にわたり、長期金利を強引にゼロに固定してきたため、政府の財政規律はすっかり低下しました。政治家は次々と巨額のばらまきを競っています。

 岸田文雄首相が増税を提起していますが、たぶん政治的に実現困難でしょう。増税によって巨額の政府債務を解消していった事例は過去にありません。

 財政規律が低下したままの状態が長期化すれば、最後に行きつくところは、インフレしかないと思います。日本にはインフレは起こらないという「デフレ神話」が根強くありますが、その神話が崩れる日も近いかもしれません。

 今起こり始めている日本のインフレは、しぶとく長期化する可能性があると思います。

インフレヘッジとして日本株は有効

 インフレヘッジとして、日本株への投資は有効と考えています。インフレによって増益する企業がたくさんあるからです。配当利回りの高い大型バリュー(割安)株を中心としたポートフォリオを保有していくことが、購買力の保全と資産形成に有効と判断しています。

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