価格水準が高すぎて脱落した銘柄は一つ

「変動率」のほか、重要な要素に挙げられるのが、「価格水準」です。以下は、四つの貴金属の価格推移です(1990年1月を100)。参考までに「変動率」の箇所で脱落したパラジウムと銀(シルバー)も掲載しています。

図:貴金属四つの価格変動(1990年1月を100 パラジウムのみ右軸 いずれもドル建て)

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 長期視点では、四つの貴金属の価格推移における「山と谷のタイミング」に、大きな差はないようにみえます。しかし、先述のとおり「変動率」は大きく異なります。「変動率」が異なる状態が長期間継続すると、同じ貴金属といえども、「価格水準」が異なってきます。

 上図のとおり、パラジウムと銀(シルバー)、そして金(ゴールド)は、比較的高い水準にあると言えます。一方、プラチナは比較的安い水準にあります。

 この点に関連する、興味深い資料があります。以下は、投資家アンケート「楽天DI」内で行った、今月の質問の一つ「もし、金(ゴールド)関連の商品を買うのであれば、どのような時に買いたいですか?」で得られた自由回答を集計した資料です。

図:もし、金(ゴールド)関連の商品を買うのであれば、どのような時に買いたいですか?

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

「株価」「下がる」「乱高下」「戦争」「起きる」「価格」「安い」「買う」などのキーワードの出現頻度が高かったことがわかります。つなげれば、「株価」が「下がったり」、「乱高下」したりしやすいとき、例えば「戦争」が起きているとき、あるいは(金価格)が「安い」ときに「買う」、となるでしょう。

 ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン革命、オイルショック、イラン・イラク戦争などの大規模な「有事」が頻発した1970年代・1980年代に発生した金(ゴールド)価格の急騰、いわゆる「有事の金買い」をイメージしている方や、現在の金(ゴールド)の価格帯を「高い」と感じている方が多いことが、これらのデータからうかがえます。

「価格水準」については、確かに、冒頭で書いた通り、足元、世界の金(ゴールド)価格の指標であるドル建ての金価格は1,900ドル/トロイオンスを超え、2,000ドル台という史上最高値レベルに差し掛かろうとしています。「高い」という印象を受けるのも、無理はないでしょう。

 一方で「プラチナ」はどうでしょうか。以前の「2023年のプラチナ相場を予想 超長期の価格上昇の第一歩」で書いたとおり、「今安く・今後高い」という長期投資になじむ環境にあります。

「金(ゴールド)の価格水準が高くて買えない」という人を含め、長期の貴金属投資に「プラチナ」という選択を検討してみては、いかがでしょうか。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例 ※級は筆者の主観

初級:純金積立、投資信託(当社では、楽天ポイントで投資信託を購入することが可能)

純金積立・スポット購入
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド

中級:関連ETF、関連個別株

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
バリック・ゴールド(GOLD)
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコネバダ・コーポレーション(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)

上級:商品先物、CFD

国内商品先物
海外商品先物
商品CFD