変動率が高すぎて脱落した銘柄は二つ

 四つは同じ貴金属ゆえ、値動きの「山と谷」のタイミングは、「長期視点」で言えば、大きく異なることは、あまりありません(長期視点で、どれかが大暴騰しているさなかに、どれかが大暴落することは、あまりない。短期視点では、山と谷が異なることは頻繁にある)。

 しかし、変動率(山の高さ・谷の深さの程度)は大きく異なります。以下は、四つの貴金属の変動率(日次の変動率を四半期ベースで平均)の推移です。パラジウムが突出して高いことがわかります(2013年1月以降の平均は3.1%)。

 パラジウムに次いで、変動率が高いのは銀(シルバー)です(同2.7%)。プラチナは同2.5%、金(ゴールド)は同1.4%です。

図:貴金属四つの価格変動率(日次の変動率を四半期ベースで平均)

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 日々の変動率の高さは、言い換えれば、日々の「ドキドキ」「ワクワク」の大きさです。長期投資においては、日々の「ドキドキ」「ワクワク」発生による感情の浮き沈み(一喜一憂)は、しばしば、取引を中断してしまう要因になり得ます。このため、長期投資を前提とするのであれば、できるだけ、日々の変動率が低い銘柄を選ぶのが、よいと言えるでしょう。

 変動率の観点より、金(ゴールド)とプラチナが、長期投資に用いるべき貴金属銘柄の候補に残ることになりそうです。日々の変動率の高さは、短期売買のチャンスを大きくする要因でもあるため、パラジウムと銀(シルバー)は、短期売買に活用する、というアイデアもあるでしょう。