「反撃の狼煙(のろし)」が出現!?

 足元、金(ゴールド)相場が騰勢を強めています。ウクライナ危機勃発直後に瞬間的に2,000ドルをつけた後、下落の一途をたどっていましたが、11月に入り、急反発しています。急反発する金(ゴールド)のチャートは、「反撃の狼煙(のろし)」が上がったかのような形状をしています。(狼煙は、モノを焼いて上げた煙によって、遠くに情報を知らせる手段)

図:NY金(ゴールド)先物の推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

「反撃の狼煙が上がった」とは、劣勢に立たされていたものの、形勢逆転に成功し、反撃が始まったことの例えです。ウクライナ危機という「有事」、急激な金融引締めによる「株安」という、金(ゴールド)相場を押し上げる材料があったにもかかわらず、下落してきた金(ゴールド)相場が、反撃に転じつつあるわけです。

 また、他の銘柄と比べても、金(ゴールド)の騰勢が強いことがわかります。10月末と11月11日を比べると、ドル建ての金(ゴールド)は7.8%上昇、円建ての金(ゴールド)は2.8%上昇しました。その他、同じ貴金属の銀、プラチナ、パラジウムも上昇しました。貴金属の中で最も人気がある金(ゴールド)が、他の貴金属のけん引役になったと、考えられます。

図:主要銘柄の騰落率(2022年10月31日と11月11日を比較)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 振り返ってみれば、この間、「欧州50」「上海総合指数」「NYダウ先物」「日経225」など、世界各地の主要株価指数が上昇しました。「株高・金(ゴールド)高」だったわけです。