外部要因1:経済指標の影響が大きい米国株市場

 一つ目の外部要因は米国株市場です。

(図5)米NYダウ(日足)とMACDの動き (2022年12月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末12月2日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は3万4,429ドルでした。前週末終値(3万4,347ドル)からは82ドル高と、週足ベースでは小幅の上昇です。

 上の図5の日足チャートを見ると、11月末の30日(水)の取引で見せた大幅上昇が功を奏したかっこうです。この日はパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演を受け、来週開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅の縮小観測が高まったことが背景となっています。

 先ほどの図1で、日経平均が見せた窓開けの上昇も、この日の米国株市場の動きが影響しています。

 ただし、週末にかけてのNYダウは上値を伸ばせずに失速していきました。節目の3万4,000ドル台を維持できたとはいえ、実はこうした値動きは要警戒かもしれません。

 というのも、週末にかけて株価が伸び悩んだのは、米11月ISM
(米サプライマネジメント協会)製造業景況指数が悪化したことや、米11月雇用統計が予想よりも強い結果となり、賃金インフレに対するピークアウトの見通しが後退したことが材料となっています。

 つい先日までは、景況感の悪化を示す経済指標が発表されると、米金融政策の緩和期待につながって株価が上昇する、「悪材料が株高材料」となっていたのですが、こうした状況に変化が出てきた可能性があるわけです。

 つまり、今後はさえない経済指標が発表されるなど、景況感の悪化が素直に株価を下落させる展開もあり得ることになります。今週は、FOMC(12月13~14日)、米11月消費者物価指数(12月13日)などの注目材料が来週に控えていることもあって、様子見ムードが強まりそうですが、株価材料に対する市場の反応の変化には注意しておく必要がありそうです。