世界を出し抜くOPECプラス

「減産順守率」を起点に、「減産基準量」「生産量の上限」「実際の生産量」といった各種数値を確認し、今回の会合の意味を考えました。この考察を通じて改めて感じたのは、表向きの報道(特に見出し)と実態の乖離(かいり)です。

「報道上の減産合意は、実際の生産量が減ることを約束するものではない」(単に生産量の上限が下がっただけ)ということを、われわれ市場関係者(個人投資家の皆さんも)は意識をする必要があるでしょう。それには、毎月「実際の生産量」を確認していく必要があります。

図:OPECプラスの減産に関する主な報道

出所:筆者作成

 上記のとおり、減産に関して主に報じられるのは、生産量上限の引き下げ・引き上げ幅(増減産量)の前月比です。しかし、これだけでは、OPECプラスの動向の全体像を把握することはできません。

 OPECプラスは知っているのでしょう。実際の生産量の話でなくても、前月比だけでも、ニュースの見出しに「OPEC」、「減産」「合意」というキーワードが含まれていれば、OPECプラスの思惑通り(市場が勘違いをして)、原油価格が上昇することを。

 今回の会合で、OPECプラス(ロシア含む)は「価格(単価)上昇」と「増産余地」の両方を手に入れました。インフレになやむ先進国は、してやられた印象です。

 これ以上、OPECプラス(ロシア含む)の術にはまってはいけません(ロシアの収益をそぐ意味でも)。理解に時間と労力が必要、文字数が多くなる、などの都合を優先せず、「生産量の上限引き下げ」という言葉で「減産」を表現するべきであると、筆者は考えます。

[参考]エネルギー関連の具体的な投資商品例

国内株式

INPEX
出光興産

国内ETF・ETN

NNドバイ原油先物ブル
NF原油インデックス連動型上場
WTI原油価格連動型上場投信
NNドバイ原油先物ベア

外国株式

エクソン・モービル
シェブロン
オクシデンタル・ペトロリアム

海外ETF

iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF
エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド

投資信託

UBS原油先物ファンド
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
シェール関連株オープン

海外先物

WTI原油(ミニあり)

CFD

WTI原油