今回の会合は減産順守率の正常化に効果大

 ここまで、減産順守率とそれを算出する数値の推移を確認しました。ここからは、今回の会合が、これらの数値をどのように動かしたかを確認します。

 今回の会合で、「要求された削減量(減産基準量-生産量の上限)」が増えました(163万バレル/日量→200万バレル/日量)。また、「減産基準量」が引き下げられました(4,548万バレル/日量→4,385万バレル/日量)。

図:減産順守率の計算方法とそれを低下させる方法

出所:筆者作成

 これらにより、先述の140万バレル/日量(9月比)の増産余地が確保され、「実際の生産量」の増加が可能になりました。「要求された削減量」の増加、「減産基準量」の引き下げ、「実際の生産量」の増加は、いずれも減産順守率を低下させる要因です。

 今回の会合がまさに、異常値と言うべき水準まで上昇した減産順守率を正常な水準まで低下させる策となっていることがわかります。無理なく減産順守を達成できる110%から120%あたりで減産順守率が推移するようになれば、OPECプラス内の体制はより強固なものになるとみられます。