「減産順守率の正常化」を起点に考える

 OPECプラスの会合に関わる疑問と引っ掛かりについて書くにあたり、さまざまな切り口を考えましたが、「異常値まで上昇している減産順守率」が、最もそれに適していると考えました。

 以下はOPECプラスの減産順守率の推移です。減産順守率は「実際の削減量」÷「要求された削減量」で求める、どれだけきちんと減産を守っているかを示す数値です。100%を超えると減産順守です(自分たちで決めた削減量以上に、削減をしている状態)。

「実際の削減量」は、「減産基準量」-「実際の生産量」で求めます。この三つの数値のうち、「減産基準量」と「要求された削減量」は、OPECプラスが自ら決めています。

 この減産順守率は足元、異常値といえる水準まで上昇しています。筆者の推計では、2022年9月の減産順守率は334%でした((4,548万バレル/日量-4,036万バレル/日量)÷153万バレル/日量)。153万バレル/日量を削減すればよいところ、511万バレル/日量も削減している計算です。

 OPECプラスの原形が誕生したのは、2016年12月の会合でした(OPECと一部の非OPEC加盟国の共同宣言「DoC(Declaration of Cooperation)」がなされた会合)。その翌月からはじまった減産における減産順守率は、筆者の記録によれば、高くても180%前後でした。それと比較すると、いかに足元の減産順守率が異常値かがわかります。

図:OPECプラス(減産実施20カ国)の減産順守率(筆者推計)

出所:OPECの資料およびブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 次より、減産順守率を算出する際に必要なさまざまな値を確認します。