下落圧力、多くが「ドル高」由来

 ここまで、「ドル高」がコモディティ市場にどのような影響を与えているのかを、確認しました。ここからは、「ドル高」を含んだ材料の全体像を確認します。

図:足元の主要国際指標(ドル建て商品)の材料

出所:筆者作成

 上図のとおり、「ドル高」は、原油や非鉄、農産物、そして金(ゴールド)などの国際指標と呼ばれる市場に、幅広く、下落圧力をかけています。「需要減退懸念」は原油、非鉄、農産物の、「ドルとの比較(代替通貨の視点)」は、金(ゴールド)の、個別の下落要因です。

「2階建て構造の下落圧力」が、コモディティ(金を含む)の国際指標市場を下落に導いているわけです。

 個別の上昇圧力は、原油、非鉄、農産物では「供給制約」「政策起因の需給引き締まり」「生産コスト増」が、金(ゴールド)では「リスク拡大(有事ムードの視点)」、「株価不安定化(代替資産の視点)」がきっかけとなり、作用しています。

 しかし、価格が下落していることからわかるとおり、足元、上昇圧力の合計は、2階建て構造の下落圧力の合計よりも小さいと言えます。上昇圧力の合計と下落圧力の合計が相殺し、その結果、価格が下落していると、考えられます。(上昇要因も存在する)

「ドル高」が支配的となり、足元、コモディティ市場全般が下落している中、今後、ドルが下落した場合、何が起きるでしょうか。2階建て構造の下落圧力が大きく低下する可能性があります。特に「金(ゴールド)」においては、下落要因の多くが取り除かれる環境になるかもしれません。