金融政策、インフレ、景況感の三つどもえ続く

図6 相場材料の整理

 国内外の株式市場の相場環境は、これまでどおり、インフレの動向や景況感、そして金融政策による「三つどもえ」の構図に大きな変化はなく、目先で注意が必要なのは、周囲の材料の方にありそうです。

 この中でとりわけ注意したいのがウクライナ情勢をめぐる動向です。最近はウクライナ軍による攻勢のニュースが増えていますが、ウクライナ東南部のドネツク州やルハンスク州、ヘルソン州、ザポリージャ州の一部で、ロシア併合の賛否を問う住民投票がロシア主導で実施されています。

 この住民投票の正当性については大いに疑問があるものの、ロシア側が一方的に同地域を併合してロシア領とすれば、ロシアは核兵器の使用を「自国領が脅かされた時」という姿勢であるだけに、国際的な緊張感が高まる可能性があります。

 また、日本株にとっては、国内新型コロナウイルス規制の緩和による「リオープン(経済再開)」期待や円安進行によるインバウンド期待などは追い風になりそうですが、コロナ前のインバウンドの主力だった中国に関しては、台湾をめぐって微妙な関係になりつつある中、今週29日(木)に国交回復50周年を迎えます。

 その中国では共産党大会の開催が10月16日からと近くに迫っており、政治的な動きも出てきそうです。

 また、先週は約24年ぶりの為替介入が実施され、市場に大きなインパクトを与えましたが、日本銀行の金融政策スタンスに変更はなく、為替市場の円安トレンドが転換するというよりは、円安の進行ピッチに対するけん制という受け止めになりそうです。

 いずれにしても、株式市場の相場地合いはムードの変化に敏感になっており、株価の上下が激しくなる不安定な展開が続くことになりそうです。また、10月中旬以降の決算シーズン待ちということもあり、短期的な値動きを追う売買をしないのであれば、本格的な買いの好機は「もうちょっと先」になるのかもしれません。