日経平均、今週の終値は2万7,650円

 先週末9月2日(金)の日経平均株価終値は2万7,650円でした。先週は「月またぎ」で9月相場入りとなりましたが、前週末にジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がジャクソンホール会議(米カンザスシティ連邦準備銀行主催の経済シンポジウム)で行った講演内容を受けて、下落が目立つ展開となりました。

 実際に、前週末終値(2万8,641円)からの下げ幅は991円と大きくなったほか、週足ベースでも2週連続で下落しています。

図1 日経平均(日足)とMACDの動き (2022年9月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の8月29日(月)に「窓」を開ける格好で一段安となった日経平均は、25日移動平均線や節目の2万8,000円を下抜けてしまいました。

 ただ、翌30日(火)と31日(水)の取引では、その下抜けた2万8,000円台を挟んだ攻防となり、何とか持ち直しつつあるようにも見えたものの、週末にかけて再び売りに押されていきました。

 こうした株価下落の動きを上の図のように、いくつかのローソク足の固まりを丸で囲んでみると、段階的に下落していたことが分かります。また、下段のMACDも下向きを強めています。

 目先は、株価が200日や75日移動平均線をサポートにできるか、MACDが「0円」ラインの下抜けを回避できるかが注目されることになります。ちなみに、先週末2日(金)時点の200日移動平均線は2万7,493円、75日移動平均線が2万7,379円です。

図2 TOPIX(日足)とMACDの動き (2022年9月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 続いて、TOPIX(東証株価指数)の動きについても確認していきます。上の図2を見ても分かるように、先週のTOPIXの値動き自体は日経平均と似ていますが、TOPIXは週末2日(金)の取引時間中に200日移動平均線を下抜け、75日移動平均線で何とか踏みとどまっているような動きとなっています。

 チャートをさかのぼると、7月中旬から8月上旬にかけての、約3週間あまりの間、200日移動平均線と1,950pの範囲内でのもみ合いが続いており、比較的押し目買いも入りそうな印象ではあります。

 しかし、このまま75日移動平均線を下抜けてしまうと、弱気ムードが優勢となってしまうことも考えられるため、今週の最大の焦点は、「はたして、もう一段階の株価下落があるのか?」ということになります。

図3 日経平均(日足)の株価位置(2022年9月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の株価下落のきっかけとなったパウエルFRB議長の講演について、前回のレポートでは、「これまでの楽観的な見通しの修正についてはあまり時間が掛からず、さほど心配はいらない」、「ただ、景気や企業業績の悪化の織り込みが始まると、もう一段階の株価下落が想定される」の2点をポイントに挙げました。

 そして、目先の下値について、上の図3にあるように、先ほどの200日移動平均線や、フィボナッチ・リトレースメントの「38.2%戻し(2万7,017円)」、ギャン・アングルの「4×1」ラインなどが目安になると指摘しましたが、実際に先週末時点の日経平均の株価は、200日移動平均線やギャン・アングルの「4×1」ラインに位置しており、ここまでの下落は想定内だったと言えます。

 ここで株価がいったん下げ止まるのであれば、想定される値動きの方向性は、3月9日と5月12日の安値同士を結んだ線が考えられます。反対に、さらに株安が進むのであれば、同じく3月9日と6月20日の安値を結んだ線あたりまでが想定される下落の範囲となります。

 できれば前者の株価下げ止まりシナリオに期待したいところですが、今週は波乱要素が多く、後者の株価下落シナリオの方が優勢になるかもしれません。

 そこで、いくつかの波乱要素について整理していきたいと思いますが、その一つに挙げられるのが先週末の米国株の下落です。