今週の米国市場、値動きが荒くても焦りは禁物!

図5 米NYダウ(日足)とRSI(2022年9月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図5は、NYダウの日足チャートと下段にRSI(相対力指数)を表示したものです。

 このチャートで何を見るのかというと、株価の方向とRSIの方向が反対となっている「逆行現象」を捉えて、トレンドの方向性を探ろうというのがねらいです。

 長くなってしまうため細かい説明は省きますが、逆行現象には「トレンド転換型」と「トレンド継続型」の二種類があり、先週末時点で出現しているのは、二つの「トレンド継続型」の逆行現象になります。

 具体的に見ていくと、一つ目の逆行現象は6月17日を起点とするもので、株価の下値が切り上がっているのに対し、RSIは下方向を向いています。この場合、下値が切り上がっている向きにトレンドが継続しやすいという判断となります。

 もう一つの逆行現象は1月5日を起点とするもので、直近高値の8月26日に向けて上値が切り下がっている一方、RSIの上値は切り上がっています。こちらは上値の切り下げ方向へのトレンドが継続するという判断になります。

 説明がややこしくなってしまいましたが、簡単にまとめると、「足元では二つのトレンド継続型の逆行現象が出現しており、短期的には上方向だが、中長期的には下方向のトレンドを示唆している」ということになります。

 ただし、足元のNYダウが株価の下げ止まりを確認できておらず、まだ下落の途中であるという点が厄介なところです。

 先ほども説明したように、今週は需給要因の火種を抱えており、相場のムード悪化と結びついてしまった場合には下げが大きくなって短期の逆行現象が打ち消されるという展開もあり得ますし、反対に需給要因で株価が大きく上昇したとしても、中長期の逆行現象が意識されて積極的に上値を追いにくくなることも考えられます。

 したがって、株式市場は迷いを抱えながら推移する状況がしばらく続きそうです。これまで説明してきた通り、今週は値動きが派手になる局面もありそうですが、想定内の展開ですので、「慌てない心構え」で相場に臨みたいところです。