先週末の米国株は下落基調、今週は?

図4 米NYダウ(日足)とMACD (2022年9月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末2日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は3万1,318ドルでした。上の図4で値動きを振り返っても、週を通じて下落基調が続いていたことが分かります。株価と移動平均線との絡みでは50日移動平均線を下抜けてしまったほか、下段のMACDも「0ドル」ラインを下抜けています。

 株価位置についても、6月17日の安値と8月16日の高値の上昇幅に対するフィボナッチ・リトレースメントで捉えると、「61.8%押し」のところまで下げてきました。

 また、週末2日(金)のローソク足に注目すると、大きめの陰線となっていて、前日の小さい陽線を包み込む、「抱き線」と呼ばれる形になっていますが、今回着目するのは抱き線そのものではなく、大きい陰線が出現した過程です。

 つまり、「前日終値よりも高く始まったのに、終わってみれば前日よりも安くなってしまった」という点です。米国ではこの日、注目の8月雇用統計が公表されたのですが、株式市場の初期反応は上昇で応えたものの、引けにかけて下落に転じています。

 NYダウが下げに転じた要因としては、雇用統計の結果がFRBによる利上げペースを加速させるほどの内容ではなかったものの、かといって、早期の金融緩和期待は先日のパウエル議長の講演で否定されてしまったために買いが続かなかったこと、そして、9月2日で定期点検が終了するはずだった「ノルドストリーム(ロシアと欧州を結ぶ天然ガスのパイプライン)」の再開が延期されると報じられ、エネルギー価格に対する懸念が高まったことが挙げられます。

 エネルギー関連の材料といえば、OPECプラス(石油輸出国機構=OPECと、非加盟国で構成される組織)会合が今週開催され、原油価格への影響が注目されているほか、欧州では金融政策を決めるECB(欧州中央銀行)の理事会が8日(木)に予定されているなど、今週の株式市場も原油や天然ガスなどの価格動向の影響を受けそうです。

 さらに、タイミングといえば、今週5日(月)の米国市場が祝日のレイバーデーで休場となり、6日(火)から取引が開始されることも注意が必要かもしれません。一般的に、レイバーデー明けによって、夏休みを含む「お休みモード」が終わるといわれており、市場に機関投資家が戻ってくるとされています。

 国内でも週末の9日(金)にメジャーSQが控えていて、日米ともに需給的に大きな波乱要因を含むことになります。なお、再び上の図4に注目すると、NYダウが直近で天井をつけたのが8月16日、パウエルFRB議長の講演を受けて株価が大きく下落したのが8月26日、そして、レイバーデー明けが9月6日と、10日刻みのリズムになっていることも意識されるかもしれません。

 では、「チャート的に米NYダウのトレンドの方向性はどちらを向いているのか?」についても考えてみたいと思います。