中間選挙年のアノマリーにも注意したい

 米国の株価動向と選挙サイクル(4年)には、アノマリー(Anomaly:理論的な説明が難しいものの経験則としての株価傾向)」が存在することが知られています。例えば、「大統領選挙の前年(中間選挙の翌年)は株価が上昇しやすい」というものです。これは、現職大統領が翌年の大統領選挙をにらんで景気浮揚に注力するためとの説が有力です。

 実際、第2次世界大戦後の1946年から2021年の76年間について米国株(S&P500種指数)の年間騰落率を計算した結果、「大統領選挙の前年」の平均騰落率は+15.9%と76年間の算術平均(+9.0%)を大きく上回ってきました。ちなみに、「大統領選挙年」の平均騰落率は+6.8%で、「大統領選挙の翌年」の平均騰落率は+8.0%でした。

 そして、「中間選挙年」の平均騰落率は+5.0%と4年の選挙サイクルの中では最低だったことがわかります。今年は11月8日に中間選挙を控えていますが、アノマリー的に今年は上値の重い年とみることができます。

 はっきりした理由は不明ですが、中間選挙では大統領が所属する政党(与党)が中間選挙で議席を減らし、政権の政策推進力が低下しやすい傾向を反映したものとの説が有力です。

 図表4は、「中間選挙が実施された年」を過去10回(年)取り上げ、NYダウ(ダウ工業株30種平均)の平均推移を示したものです(年初を100とした場合)。中間選挙の年は、8月下旬から10月にかけて相場が低迷することが多かった傾向がわかります。本年も中間選挙が実施される直前まで不透明感を織り込む可能性がありそうです。

 ただ、そのころにはインフレ圧力の和らぎが明らかとなり、9月FOMCも終了して政策金利見通しのめどがつくため、その後は年末高や新年(2023年)の株高が示現することが期待できると思います。こうしたシナリオに基づくなら、秋に向けての株価調整は「押し目買い」や「積み増し買い」の好機となりそうです。

<図表4>中間選挙年の米国株推移(過去10回の平均)

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成

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