原油市場の材料のバランスを確認

 以下の図は、足元の原油市場の環境です(筆者イメージ)。8月に入り、下落要因を強める複数の新たな材料が、発生しています(赤太文字)。

図:足元の原油市場の環境(短中期)

出所:筆者作成

「東アジア情勢の悪化」は、米下院議長のナンシー・ペロシ氏が東アジア諸国を訪れたことで発生(最も物議をかもした台湾訪問は8月2日・3日)、また、「OPECプラス※が小幅な増産」を決めたのは8月3日でした(※OPEC(石油輸出国機構)と一部の非加盟国で構成する産油国の集団)。

 そして、「週間ベースで米国の石油在庫が大幅に増加」したことが明らかになったのは8月3日、強い内容となった米雇用統計を受けて「ドル指数が反発色を強めた」のが8月5日でした。

 いずれも8月に入って発生した下落要因を強める材料です。原油相場がウクライナ危機勃発前の水準を割ったのも、このタイミングです(7月31日は98ドル台で推移)。足元、原油市場では、上昇要因は存在するものの、下落要因が勝っているわけです。