失敗2:黒字でもうかっているはずなのに配当が増えない!

[予防策]配当性向で企業の姿勢をチェック!

 もうかっていても配当が増えない、という理由はいくつかの理由があります。一つずつ解説していきましょう。

▼もうかっているのに無配当、その理由は?
 新規公開(IPO。株式を上場)したばかりの企業の経営者の多くは、株主還元について聞かれると「利益は成長のための投資に使います」と答えます。成長途上にある企業は、事業を拡大する余地が大きいので、利益を設備投資に使って業績を向上させ、株価を上昇させたほうが、配当を出すよりも株主に報いることになるという考え方です。よって配当は、企業がある程度成長するまでお預け…となります。現在でも、利益が出ても株主への還元よりまずは企業の成長に注力する、という思想のもとに、大企業や好業績企業でも、無配の企業があることをまず知っておきましょう。

▼もうかっているのに配当は増えない、その理由は?
 企業は通常、利益を、株主と社員と企業で分配します。昔からある「利益三分法」という考え方は、利益を3者で3分の1ずつ分けるということ。「利益三分法」では、株主は利益のおよそ30%を配当として手にすることになります。

 このように企業が1年間でもうけた利益から、どれだけ配当金として株主に還元しているかを示す指標を「配当性向」(企業の純利益に占める配当金の割合)といいます。

 計算式は、
配当性向(%) = 1株当たり配当額 ÷ 1株当たり当期純利益 × 100
 となります。

 大企業の配当性向は平均30~40%です。これは「利益を得たら30%を株主に配当として還元します」ということです。

  配当性向が高い企業は、株主還元を重視している優良企業とも言えますが、実は事業に成長が期待できず、設備投資を控えているため、企業の取り分を減らしているのかもしれません。

 利益が出ているのに配当はいつもほぼ同じで、なおかつ配当性向が下がっている企業は、成長が期待できる事業に利益を投資するつもりなのかもしれません。その場合、その投資がうまくいけば株価の上昇も期待できます。IR情報や経営者の談話などで、企業の今後の方針をチェックしてみましょう。