バイデン氏がサウジに出向き原油増産の直談判に

 今週、原油市場の供給懸念を解消させる一要素を発生させるべく、バイデン大統領がサウジアラビアを訪問します(「一要素」としたのは、この策がインフレ沈静化の決定打ではないため。決定打はウクライナ危機鎮静化)。

 目先、サウジに増産をさせることの方が、ウクライナ危機を鎮静化させることよりも、難易度が低いと踏んだ可能性があり、この点が、インフレ退治を喫緊の課題ととらえるバイデン氏がサウジ訪問を決めた理由だと、考えられます。

 実は今、バイデン氏が属する民主党の支持率が低下傾向にあります。このことは、「インフレ」を喫緊の課題とする共和党支持者が増加していることと同様、バイデン氏に吹く逆風といえます。

 民主党支持者における「強く支持する」(灰線)、全体における「強く支持する」(青線)は、ウクライナ侵攻後、最低を更新しています。

図:米民主党(バイデン氏所属)支持率 単位:%

出所:米キニピアック大学のデータをもとに筆者作成

 バイデン氏が、サウジとの交渉をうまくまとめ、中東地域での米国の影響力を回復させることができれば、米国の「世界の警察」復活を印象付けたり、安定した政権運営を行っているとの見方が広がったりして、民主党支持者からの支持を取り付けやすくなります。

 サウジ訪問の主目的は「原油増産の直談判」とされていますが、上記の「中東地域での影響力復活」もまた、大きな目的の一つでしょう。これらをまとめて達成できれば、バイデン氏は共和党支持者・民主党支持者、両方の支持を取り付けることができるでしょう。

 果たしてバイデン氏は、選挙に向け、これらの目的を達成することができるのでしょうか。バイデン氏は、7月13日(水)~16日(土)にイスラエル、パレスチナ、サウジアラビアを訪問する予定です。