※この記事は2022年7月11日に掲載されたものです。

18歳から新成人へ

 2022年4月1日、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳、19歳の方は、社会的に大人として扱われるようになりました。

 歴史をさかのぼると、日本では20歳を成人と定めたのは明治時代からとなります。しかしその後、法改正により2016年から選挙権が18歳以上に引き下げられ、近年では18歳以上を大人として扱うべきなのではないかと議論されるようになりました。

 世界的に見ても18歳を成人とする国が主流となってきています。

「社会的に大人になった」ことで、自己決定によりできることが増えた一方で、実際に何がOKで何がNGなのか、不明な点や不安も多いはず。

 また新成人だけでなく保護者や周辺の方も、18歳になったら何ができるのかを正確に把握しておくことが必要です。

 新成人になり、何ができるようになるのか、改めて整理してみましょう。

18歳からできること、できないことを整理

▼18歳になってもできないこと
飲酒

・喫煙

・競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う

・養子を迎える

▼親の同意なく、できるようになる契約
・携帯電話の契約
・ローンを組む
・クレジットカードを作る
・一人暮らしの部屋を借りる
▼結婚
・男女ともに18歳から
▼資格を取る
・会計士や薬剤師などの資格を取得できる
▼その他
・10年パスポートを取得できる
・証券口座を開設できる

詳しくはこちらを参照
政府広報オンライン

Q&Aで答える!「18歳からできる?できない?」

18歳になったら結婚できる?
男女とも18歳になれば結婚できるようになります

 これまでの結婚可能年齢は男性が18歳、女性は16歳以上、かつ親権者の同意が必要でした。これからは同意が不要になり、男女共に18歳から結婚可能となります。

(2022年4月1日時点で16歳以上18歳未満の女性は、18歳未満でも引き続き親権者の同意を得て結婚することができます。)

ATTENTION!

 年齢が引き上げられた理由としては

  • 男女の取り扱いの差異をなくすため
  • 18歳程度の社会的・経済的な成熟が必要であるため

 が主に挙げられます。

 今後の人生が大きく変わる結婚。自分一人ではなくパートナーや周りと一緒に考えていきましょう。

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クレジットカードは作れる?
親の同意不要で申し込めるようになります

 これまでは18、19歳の方もクレジットカードの申し込み自体は可能でしたが、未成年者は親権者の同意が必要でした。これからは自分の判断で、クレジットカードの申し込みが可能になります。

ATTENTION!

 18歳以上とはいっても「高校生は除く」と条件にしている会社は多いので、学生の内はまだ作れない場合が多いです。

 またクレジットカードはあくまで後払いなので、持っている金額以上に買い物ができてしまいます。もし支払いが滞ってしまった場合、今後契約を結ぶ際の審査や融資を受ける際に断られてしまう可能性もあります。

 利用金額を把握して、返済できる範囲での利用を心掛けましょう。

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ローンは組める?
親の同意不要で申し込めるようになります

 18歳になると親の同意不要で、住宅ローンやカーローンなどのローンを組むことができるようになります。

ATTENTION!

 運転免許が取得できるのも18歳以上。高校生のうちにローンを組んでマイカーを購入したい若者も多いはず。

 しかし、法的にOKになったとはいえ、安定した一定以上の収入があることを必須条件とする金融機関がほとんど。法的にはOKでも、学生など返済能力がないとみなされる若者は、親の同意を求められるか、ローン申請が通らないことが多く、安易にローンは組めないようです。

 また未成年の時は親の同意なく締結した契約であれば取り消しできるように法律で守られていましたが、2022年4月1日以降に締結した契約は18歳から取り消しできなくなります。

 消費者トラブルに巻き込まれてしまった場合、『消費者ホットライン「188」』や「日本司法支援センター(法テラス)」のような無料で相談できる窓口があります。

 ローンや契約について困ったことになった場合、一人で悩まずにこういった窓口や周りの大人に相談しましょう。

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一人暮らしを始められる?
親の同意なしで賃貸の契約をできるようになります

 連帯保証人が必要なことは今までと変わりませんので、やはり親と相談が必要です。

ATTENTION!

 親が連帯保証人とならない方は、賃貸の保証会社に加入するか、他の親族を保証人に立てるかを選択する必要があります。

 保証会社の利用や家賃をクレジットカードで支払っている場合、家賃滞納をしてしまえば、信用情報機関のブラックリストに載る可能性もあります。保証人に迷惑が掛かるだけでなく、携帯電話や他のローンの契約が通らなくなる、など今後の信用にもつながってきます。

 契約とは互いに内容を守る前提で結ばれるもの、ということを念頭に置きましょう。

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携帯電話を契約できる?
親の同意不要で契約できるようになります

 18歳になると、携帯電話の契約が可能になります。契約時には契約者の本人確認ができる書類(パスポート、保険証、銀行口座の通帳や印鑑など)が必要です。

ATTENTION!

 携帯電話の契約に関しては18歳以上であれば高校生でも可能です。

 しかし、両親の口座から料金が引き落とされる場合は同意書が必要になりますので事前の相談は不可欠です。

 自分で支払う場合でも自己管理する必要があります。毎月の料金だけでなく契約内容を把握するようにしましょう。

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18歳になったら投資を始められる?
投資に必要な証券口座を開設できるようになります

 18歳から証券口座を開設することができるようになりました。口座を開設することによって、株式投資や投資信託も始められるようになります。

 楽天証券でも成年向けの取引口座が開設できるようになります。

※楽天証券の成年年齢の引き下げによる詳細はこちらをご覧ください。

ATTENTION!

 18歳から早速投資を始めたい人もいると思いますが、投資に絶対はありません。マイナスになることも当然あります。

 投資に使える資金が少なかったり、選択肢が多く迷うかもしれませんが無理は禁物です。

 月々からのつみたてや少額から始められる投資など、これから始める方に合った投資もあります。

 焦って始めようとせずに自分のできる範囲で始めてみましょう。

18歳になったらお酒やたばこはOK?
お酒やたばこは変わらず20歳から

 お酒、たばこは成人年齢の18歳からではなく20歳以上からと定められています。

ATTENTION!

 20歳未満の方の飲酒・喫煙に罰則はありませんが、所属している学校や会社から謹慎・解雇などの処分を受けてしまうかもしれません。

 これは20歳未満の方だけの問題ではありません。

 例えば飲酒・喫煙を勧めた、あるいは黙認してしまった場合、親権者や親権者に代わって監督する人は科料(1,000円以上1万円未満の刑罰)に当たる場合があり、前科としても残ります。

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賭け事はできる?
馬券購入などの賭け事は20歳から

 公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)の投票券の購入は変わらず20歳以上からです。

 健康被害への懸念やギャンブル依存症対策から、年齢制限の維持を法律によって規定されています。

ATTENTION!

 ネットからの購入も、クレカや銀行口座を明記する必要があるので20歳未満だと却下されて購入できません。

 また、法律には「二十歳未満の者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない」と示されており、20歳未満の人の代理で馬券を購入した人は、50万円以下の罰金の対象となります。

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万が一、加害者になっても実名報道されない?
少年法も改定されるので実名報道される場合も

 少年法では「20歳に満たない者」を少年といいますが、18、19歳の少年は「特定少年」とされ17歳以下とは異なる扱いになります。

 20歳未満の少年は、実名や顔写真など犯人が誰であるかが分かるような報道は禁止されていますが、少年法が改定され禁止が解除される場合があります。

ATTENTION!

 少年事件は全件が家庭裁判所に送られますが、このうち一定の重い犯罪の場合は検察官に送致され刑事裁判となります。

 少年法の改正により、特定少年が検察官に送致される犯罪の範囲が拡大されることとなりました。

 家庭裁判所から送致され起訴されると、特定少年は20歳以上と同様の扱いになり実名報道がされる場合があります。刑罰においても大人と同じ立場で取り扱いをされるようになったということです。

 大人として重要な権利や自由を認められるということは、同じだけの責任を求められるということ。

 新成人も周りの大人も「何ができるのか、何をしてはいけないのか」「行動に責任を持つこと」をしっかりと把握するようにしましょう。

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正しい情報と選択で大人への一歩を

 成年になってからできるようになることは多くありますが、「自分の意志で決定できるようになる」「自分で責任を取らなければならない」点が共通しています。

 特にお金周りでは、クレジットカードの利用や、将来に向けて投資を始めるなど選択肢が増えた半面、「何が正しい情報なのか」「何にお金を使っているか」を自分で判断・把握しなければなりません。

 法的にできる・できないだけでなく、それが自分にとって必要なのか、正しい選択なのかを判断する力も必要です。

 正しい情報を選択するために、時には周囲の大人に意見を聞くなどして、無理なく成人の第一歩を踏み出していきましょう。