発展が見込まれる新エネルギー関連セクターに注目。長期投資としても期待

 今回の注目セクターは新エネルギー関連セクターです。残念ながら、5月に発表された景気対策の中で示されている「5.エネルギーの安全確保」は石炭生産計画の拡大や、水力発電、石炭発電の建設強化といった政策で、新エネルギー関連セクターとは関連がありません。

 ですが、新エネルギー、新エネルギー自動車産業の発展は第14次五カ年計画の最重要政策の一つです。また、関連銘柄の多くは2021年に急騰した後調整局面が続いており、長期投資としては注目すべき時期に近づいているのではないかと考えます。

注目株1:新天緑色能源(00956)

 河北省政府系投資集団傘下の新エネルギー、クリーンエネルギー企業です。主要業務は河北、山西、新疆、山東、雲南、内モンゴルなどで行う風力発電、太陽光発電事業、河北省内で行う天然ガスのパイプライン供給、末端での天然ガス販売などです。

 売上ベース(2021年12月期、以下同様)では新エネルギー事業が38%、天然ガス事業が60%、その他が2%ですが、粗利益ベースでは順に79%、18%、3%です。新エネルギー事業では、風力発電が7プロジェクト、総発電容量5,674MW、太陽光発電が3プロジェクト、119MWです。

 2021年12月期業績は28%増収、43%増益でした。風力発電の新規稼働が売上をけん引、利益面では天然ガス価格の上昇も加わり、大幅増益となりました。今期は5月までの累計で、発電量は0.87%増、ガス販売量は3.8%増と安定成長です。2022年12月期の市場予想は8%増収、11%増益です。

 中国は2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせるといった大方針を打ち出しています。具体的には2030年までに非化石燃料エネルギーの比率を25%前後とする、風力、太陽光発電の設備容量を120万MW以上にするといった目標を定めています。

 同社はこうした国家政策によって今後、事業規模を大きく拡大することができると予想します。

新天緑色能源の月足

期間:過去5年(2017年5月17日~2022年6月17日)
出所:楽天証券ウェブサイト

注目株2:天能動力国際(00819)

 張天任CEOが1988年に経営を請け負った倒産寸前の蓄電池工場が前身です。経営を立て直すと、1998年には復旦大学教授の協力を得て電動自転車用の密閉型鉛蓄電池(VRLAバッテリー)を開発。この成果が起爆剤となり、同社をバッテリー大手企業の一角に押し上げました。

 現在の事業内容は、電動自転車、電動バイクなど、電動小型車のバッテリー製造をメインとしつつも、新エネルギー向けの畜電池、自動車用のエンジンスターター・バッテリー、電動特殊自動車用のバッテリーなど、用途の多様化を進めています。また、廃棄バッテリーの回収、リサイクル事業なども行っています。

 部門別売上高(2021年12月期)ではVRLAバッテリーが37%、リサイクル製品が3%、リチウムイオン電池が1%、新エネルギー材料取引が56%、その他が3%です。

 2021年12月期業績は60%増収、48%減益でした。新エネルギー材料取引が急増し大幅な増収となったのですが、この部門の利益率は低く、主力のVRLAバッテリーは12%増収と売上は堅調だったのですが、原材料となる鉛、鉛合金、プラスティック、リチウム電池部材全般の価格が上昇、減益を余儀なくされました。

 2022年12月期業績の市場予想は7%増収、50%増益です。景気回復の弱さから一桁増収ながら、原材料価格が落ち着くことで、利益面では大幅に回復するといった見通しです。

 同社の主力は鉛蓄電池ですが、まだ、規模は小さいのですが、リチウム電池の開発にも注力しています。乗用車、商用車、スマートグリッド関連などでの用途開発が進むとみています。第14次五カ年計画期間中、新エネルギー、新エネルギー自動車市場が大きく拡大することで、同社にも成長のチャンスがあると予想します。

天能動力国際の月足

期間:過去5年(2017年5月17日~2022年6月17日)
出所:楽天証券ウェブサイト