ゼロコロナ政策の失敗の影響

 ウクライナ情勢は、ロシアの対ドイツ戦勝記念日である5月9日がひとつのめどとの見方が出てきていますが、停戦協議は長引きそうです。その間、ウクライナ侵攻や対露制裁によって影響された経済指標が発表されますが、先行きの不透明感は強まるばかりです。

 また、世界経済を下押しする材料として中国の新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されます。中国はゼロコロナ政策を堅持し、主要都市が次々とロックダウンされており、中国の経済活動が制限されてきています。

 ユーラシアグループが今年の「世界10大リスク」の報告書で第1位に挙げたのは、中国の「ゼロコロナ政策の失敗」です。イアン・ブレマー氏はゼロコロナ政策の失敗によって、「中国は封じ込めに失敗してより大きな感染を引き起こし、深刻な都市封鎖につながるだろう」と予測していましたが、現実のものとなりつつあります。

 そして同氏は中国国内の消費の落ち込みやサプライチェーンの混乱による影響は世界に波及し、経済不安やインフレの加速、格差拡大などに対する不満が各地で政情不安を引き起こす恐れがあると警告しています。

「世界10大リスク」の第5位は「ロシア」を挙げていました。ウクライナ侵攻の恐れがあるとしたこの予測も現実のものとなりました。

 今年の1-3月期はFRBのタカ派転換という狂騒曲によってマーケットは踊らされましたが、4-6月期はウクライナ紛争の影響と中国のゼロコロナ政策の失敗によって、世界経済に悲愴曲の序曲が流れ始めるかもしれません。

 これから発表される経済指標によって、どの程度欧米の金融政策が影響されるのか相場が読みづらい状況が続きそうです。