3月のBTC相場

【表1】BTC月別騰落表

Bloombergより楽天ウォレット作成

 結局、2月のBTC相場は、月末最終日の深夜の急伸で月足が陽線引けとなり、2月のアノマリーの強さを印象付けた格好となった。上記は先月もご紹介した月別のBTCの騰落だが、流石に2月は1年で一番BTCが強い月であるだけのことはあるし、このアノマリーというものの不思議さを印象付ける値動きであった。

 一方で、3月は最弱だ。日本の確定申告と米国の納税シーズンが重なる影響が指摘されるが、昨年の上昇で納税対象者と納税額が増えていることを勘案すれば3月は反落する可能性が高いと思われる。

 さらに、いよいよFRBが利上げを開始すると予想されるのもこの3月だ。年次見通しでも述べたが、今年の最大の材料はインフレだ。このインフレや金融引締めとBTC相場との関係は複雑で、利上げや金融引締めは株安という意味でも法定通貨の信認回復という意味でもBTCの下落要因となる。BTCがここまで上昇した一因は、コロナ後の無制限な流動性供給を嫌気したインフレヘッジだからだ。

 ただし、インフレヘッジにBTCが有効かどうかはまだ実証されたわけではない。現状程度のインフレは金融引締め・株安でむしろBTCにはマイナスだろう。では、どういったインフレならばBTCにプラスとなるかといえば、法定通貨に不安が生じるほどのインフレだ。

 すなわち、FRBがこのインフレをコントロールできていないと思われ始めるとBTCはヘッジとして買われ始める。実はそうした局面が今年中に到来すると考えているが、3月はまだ時期尚早か。

 このように、日米の納税シーズンによる売り圧力や利上げの開始により、3月のBTC相場には売り圧力がかかりやすいと考えるが、長い目で見てBTCにポジティブな動きも見られる。米欧の厳しい経済制裁はルーブル不安を呼びBTCに逃避需要を生んだが、これは長い目で見て、資源取引や外貨準備のドル離れと国際決済のSWIFT離れを加速させる可能性が高い。

 3月のBTC相場は200日移動平均線が横たわる4万9,000ドル近辺をトライ、半値戻しとなる5万1,000ドルは超えられず、再び4万ドル割れをトライしていく展開を予想する。