2月、BTCが下落した理由

 先月は、「2月のBTC相場は若干反発しそうだが、上値は限定的。4万ドルはなんとか回復するが、今回の下げの半値戻しとなる5万1,000ドルや200日移動平均線が横たわる4万9,000ドル近辺で上値を抑えられる展開を予想する」と申し上げた。月初は予想通り4万ドルを回復、上値は4万5,000ドル台と予想より若干ピークは低かったが、ほぼ予想通りの展開となった。

 想定よりピークが低かった理由は明白で、ウクライナで戦争が始まったからだ。デジタルゴールドと称し、金と比較されることの多いBTCだが、実はリスクオフにはからっきし弱いリスク資産といえる。例えば、2020年3月のコロナショックではおそらく金融市場で取引されているアセットの中で暗号資産が最も下落率が大きかったのではなかろうか。

【グラフ2】金価格とBTC推移(USD)

Bloombergより楽天ウォレット作成

 上記【グラフ2】は金とBTCとの価格推移だ。似たような値動きをするときと、真逆の値動きをするときがあり、今回はほぼ真逆の値動きをしている。ウクライナ情勢の悪化で金は上昇、BTCは下落した。一方で、月末最終日にはBTCは大きく上昇した。ルーブル危機からBTCに逃避買いが入った形だ。

 後ほど詳述するが、BTCは通常時はリスク資産としての性格が強いが、法定通貨に対しては逃避資産としての性格をみせると考えている。今回に当てはめると、ウクライナで戦争が起こりそうになりリスクオフでBTCは売られたが、いろいろあってルーブルの価値に不安が生じるとルーブルからの逃避買いが集まったわけだ。

 それにしても、これまでBTCを執拗(しつよう)に排除しようとしていたロシア中央銀行が、ルーブルの価値の維持に失敗した結果、人々がBTCに逃げ込むという、皮肉な格好となっている。