勃発は、金・原油相場の下落要因になり得る
ここまで、第四次中東戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争がそれぞれ「勃発」した時の、金(ゴールド)と原油の価格推移を確認しました。これらをまとめると、以下のようになります。
図:戦争の「勃発」と金(ゴールド)・原油相場の関係
「勃発」は、「片方がもう片方を本格的に攻撃すること」と言えるでしょう。「本格的な攻撃が行われそうだ」という「予兆」の段階で、金(ゴールド)と原油の価格が上昇したケースが複数ありました。一方、「勃発」を機に、価格が下落したケースもありました。
戦争勃発と金(ゴールド)、原油の価格推移は、相場格言「うわさで買って、事実で売る(Buy the rumor, sell the fact)」のような感覚だと言えるかもしれません。
第四次中東戦争が勃発した時の値動きには、「予兆」はありませんでした。これは、1973年当時の情報技術が今に比べて低かったため、流通する情報の量が少なく、「予兆」に関する情報があまり出回らず、「勃発」後に、大多数の人が第四次中東戦争の存在を知ったためだと、筆者はみています。