「戦争」は、これまで主に中東で起きた

 ここからは、過去の「戦争」と金(ゴールド)・原油相場の関係を確認します。以下は、金(ゴールド)相場が変動相場に移行した1973年以降の、日本語で「戦争」の言葉が付いた、複数の国家間が関わる主要な武力衝突が「勃発」したタイミングです。

図:金(ゴールド)相場の変動相場移行後に勃発した主な戦争

出所:各種情報源をもとに筆者作成

 イスラエルに奪われた領土を取り返したい、国境付近にある石油の輸出に有利な土地を獲得したい。第四次中東戦争とイラン・イラク戦争が勃発した主な要因は、領土をめぐる問題でした。

 不法にクウェートに侵攻したイラクを封じ込める、不法に大量破壊兵器を所持している可能性があるイラクから兵器を除去する。湾岸戦争とイラク戦争が勃発した主な要因は、米国などが中心となり、中東の治安を維持・回復することでした。

 世界規模の「戦争」は、世界中に強い不安をまき散らしました。また、原油の主要生産地である中東(付近)で戦争が勃発したことは、原油の供給不安をあおりました。

 これらの「戦争」は、資金の逃避先需要を増やす、金(ゴールド)の価格上昇要因、原油の供給減少懸念を強める、原油価格の上昇要因だったわけです。