第四次中東戦争とイラン・イラク戦争のケース

 世界規模の「戦争」は、金(ゴールド)と原油の価格を上昇させる要因と目されたわけですが、実際のところ、価格はどのように動いたのでしょうか。

 以下は、第四次中東戦争が勃発した日(1973年10月。エジプトとシリアがイスラエルに対して攻撃を開始した日)の前後合わせて1年間の、金(ゴールド)と原油の価格推移です。

図:第四次中東戦争勃発前後の金(ゴールド)と原油相場の推移

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 第四次中東戦争の勃発から程なくして、金(ゴールド)と原油の価格が大きく上昇しました。世の中に「中東情勢の混迷=金・原油相場上昇」という印象を強烈に植え付けました。(「有事の金」という言葉が広く知られるようになったきっかけだと、考えられます)

 以下は、イラン・イラク戦争が勃発した日(1980年9月。イラク軍が革命で混乱するイランに攻撃をした日)の前後合わせて1年間の、金(ゴールド)と原油の価格推移です。

図:イラン・イラク戦争勃発前後の金(ゴールド)と原油相場の推移

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 イラン・イラク戦争の勃発を機に、金(ゴールド)価格が大きく下落、原油価格が大きく上昇しました。金は「戦争が勃発するかもしれない」という「予兆」の段階で上昇し、勃発(攻撃開始)を機に下落しました。