(ご質問4)損益通算の確定申告をすることによって配偶者控除や扶養控除、国民健康保険料などにマイナスの影響を及ぼすことがあると聞いたのですが本当ですか?

 例えば令和2年から繰り越してきた売却損が残っていて、この売却損と令和3年に生じた売却益や配当金を損益通算するときには、確定申告が必要となります。

 これにより、売却益・配当金と損益通算できた売却損の20.315%の税額が還付されることになります。

 ところがその一方で、損益通算のために売却益や配当金を確定申告することによって所得が増加すると、本人や家族の配偶者控除や扶養控除が適用されなくなったり、国民健康保険料の金額がアップしてしまうという側面もあるのです。

 実際に、損益通算のために売却益や配当金を確定申告した方が有利なのか、あえて確定申告しない方が有利なのかは人それぞれケースバイケースです。

 したがって、事前にシミュレーションを行い、有利な方を選択するようにしましょう。

 中には、所得税は売却益や配当金を確定申告した方が有利だが、住民税は確定申告しない方が有利、という場合もあります。その場合は、所得税だけ確定申告して住民税は申告不要を選択する、ということもできます。

 なお、上記において、売却益を確定申告するかどうか選べるのは源泉徴収ありの特定口座の場合のみです。源泉徴収なしの特定口座や一般口座での売却益はそもそも確定申告が必要となっていますので、選択の余地はありません。

※本コラムは株式投資の税金についての一般的な取り扱いについて取り上げています。個々の置かれている状況によっては、これとは異なる取り扱いとなる可能性もありますので、税理士や税務署などへご相談のうえ実行されることをお勧めします。本コラムを参考にして実行された結果不利益を被った場合、筆者および楽天証券は一切の責任を負いませんのでご了承ください。