注目株4:安踏体育用品(02020)

 1991年、丁世忠会長が父親と共に創業した靴メーカーが前身です。早い時期から有名スポーツ選手をイメージキャラクターとしたり、プロバスケットボールの協賛企業となったり、積極的に安踏ブランドの形成に注力しました。2007年には香港上場を果たすなど資金調達面での成功があり、現在は中国を代表するスポーツ用品メーカーに成長しています。

 主力ブランドは独自ブランドの安踏、2009年に中国での商標権、経営権を獲得したFILAの2ブランドです。売上高(2021年6月中間期)では46%が安踏、47%がFILA。デサントなどその他が7.0%でした。粗利ベースでは順に39%、54%、7.0%です。製品別では靴が39%、アパレル衣料が58%、アクセサリーが3.0%です。

 2021年6月中間期は56%増収、132%増益でした。新型コロナ禍の反動や、D2C方式(SNS、ECサイト、直営店などで消費者とダイレクトに取引するビジネスモデル)による売上急拡大などから、主力の両ブランドが50%超の増収となりました。

 2021年12月期の市場コンセンサスは34%増収、51%増益、2022年12月期は22%増収、29%増益です。

安踏体育用品の月足

期間:過去5年(2017~2022年1月21日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 共同富裕の促進は生活の質の向上をもたらし、スポーツ需要を増やすと予想されます。同業の李寧(02331)は欧米による新疆ウイグル自治区の綿製品への排斥運動の激化が消費者の国産ブランドの支持を高めるといった追い風があり昨年、株価は大きく上昇しましたが、同社は主力ブランドの一つがFILAであるため、そうした恩恵は受けませんでした。

 その分、今後は恩恵の反動を気にする必要はありません。同社の積極的な買収戦略、新業態への挑戦などを評価したいと思います。

注目株5:海底撈国際(06862)

 四川省の伝統料理である火鍋のレストランチェーンです。四川省簡陽市で育ったシンガポール国籍の張勇会長が1994年、同地で開業した火鍋店が前身です。

 1990年代後半から2000年代にかけて、中国本土では経済発展と共に外食産業が大きく発展したのですが、唐辛子、山椒のたっぷり入った刺激の強い四川火鍋が人民の間で高い支持を集めました。

 同社はこうした好環境の中、伝統的な四川風味を保ちながらいろいろなタレを考案、肉や具材などの品質、コストに加え、設備、サービス、特に人材教育に工夫を凝らしたことで、厳しい競争に勝ち抜き、高成長を達成しています。

 2021年6月末時点で、直営店は1,597店です。この内、106店は、香港、マカオ、台湾、シンガポール、韓国、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、ベトナム、マレーシア、インドネシア、オーストラリアなどの海外(本土以外)です。

 2021年6月中間期は106%増収、9,453万元の黒字(前年同期は9億6,460万元の赤字)でした。本土では中小地方都市を中心に出店を加速、全体で623店舗拡大しました。海外でもアジア地区を中心に出店攻勢をかけ39店舗増やしました。

 新店舗が多いため、効率性はまだ低いのですが、それでも新型コロナ禍の反動もあって大幅増収、黒字転換となりました。

 2021年12月期の市場コンセンサスは44%増収、利益は横ばい、2022年12月期は23%増収、1,095%増益です。

海底撈国際の月足

期間:過去5年(2017~2022年1月21日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 同社に注目するのは株価の安さです。業績の悪化は新型コロナ禍の影響であり、収益力に問題があるわけではありません。業界の中では経営者の積極性、オペレーション能力の高さが光ります。中国のゼロコロナ対策の転換によって業績は急回復し、株価は大きく戻すと予想します。