世界の株式価値はごく一部の成長企業が生んでいる

 株式市場で形成される富はごく一部の銘柄がけん引しているという事実から、アクティブ運用によってリターンを得るためには、成長銘柄を選定できる“目利き”のファンドマネジャーの存在が不可欠だということだ。

篠田 多くの個人投資家は、株価の上下を追って一喜一憂することがリスクだと思っています。そこで伺いたいのは、小宮さんが先ほど指摘された「株式市場には魅力的な銘柄も魅力的ではない銘柄も混在しています」という点です。もう少し詳しく教えてください。

小宮 次のような事実があります。

「世界の上場株式(約6万2,000銘柄)が2018年までの28年間に生み出したアメリカの短期国債を上回る価値は、上位1.3%(811銘柄)の企業によって説明できる。61%(3万7,000銘柄)の企業はアメリカの短期国債を下回った」※1

 この事実に対するよくある反論は、1.3%が(アメリカの短期国債を上回る)富を説明しているのはわかるが、それ以外の38%も富を生み出しているのだから、1.3%が全てではない、といったものです。

 しかしこれは論点が誤っています。我々が申し上げたいのは、株式市場で形成される富はごく一部の銘柄がけん引しているといった点です。ちなみに、これはアリゾナ州立大学のベッセムバインダー教授の研究です。同教授の研究で多くの場合、トップに入るような銘柄のリターンが成長性によってけん引されていることもわかっています※2。

篠田 トップに入るような成長銘柄を見つけ出して投資する。それがベイリー・ギフォード社のグローバル株式運用戦略である「ロングターム・グローバル・グロース戦略(LTGG戦略)」なのですね。LTGGは、Long Term Global Growthの略ですね。

小宮 LTGGのLTはLong Term=長期的な視野、短期的な株価や業績の変動にとらわれることなく、より多くの投資機会を発掘することです。

 GGはGlobal=新興国を含む世界の株式から、企業の魅力度に応じて投資配分を決定し、5年先、10年先(Growth)にわたって、継続可能な成長力を持つ企業に投資を行うこと。時間の経過と共に大きなリターンの獲得が期待できるように投資を行っています。

※1:Hendrik Bessembinder著『Do Global Stocks Outperform US Treasury Bills?』(2019)から引用。・株式価値は、当該期間中の配当再投資を含む株式リターンの増加分から1カ月物財務省証券のリターンを差し引いたものです。・上記は、過去の実績であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。・表示桁未満は四捨五入しています。

※2:ベイリー・ギフォード社はベッセムバインダー教授に研究のための助成を行っています。同教授はアメリカの普通株を対象に研究を行っており、本研究に興味を持ったベイリー・ギフォード社が同教授へ、グローバル株式に対象を広げた場合の調査を依頼・実施したもの。