モノから心に、幸福の軸を移すことが求められている
先週、主要メディアで、「幸せの軸は、モノから心に移行している」という趣旨のコメントを見かけました。時制は、「した」(過去形)ではなく、「する」(未来形)でもなく、「している」(現在形でかつ進行形)でした。
このコメントは、当該メディアの主要コーナーの一角に据えられています。つまり「推し」なのです。筆者は、このコーナー(成長の未来図)は、時代の潮流の行く先を考える上で有益だと、感じています。物理的に目に見える「モノ」から、目に見えない「心」に、価値観・幸福観の軸をシフトする重要性を説いているためです。
図:価値観・幸福観の軸の変遷
30年くらい前、「欲しいモノを今すぐ10個言えれば幸せ」だと聞かされた記憶があります。中学生だった筆者が、必死に頭を回転させて思いついたのは、ゲームや、ファンだった歌手のCDなど、いかにも中学生男子が想像するものばかりでした。
必死に頭を回転させたのは、「10個言えれば幸せ」の裏である「10個言えなければ不幸」を意識したためです。
「必死に無理やり欲しいモノをひねり出すことで幸せになれるのか?」という疑問が生じなかったのは、当時の日本に、「モノを持つことが幸せだ」という同調圧力や強迫観念があったと感じていたためだと思います。
30年前の日本に、目に見えない「心」を重視するムードはなかったように思えます。2021年、主要メディアで報じられているとおり、わたしたちは目に見えない「心」を、価値観・幸福観の軸とするタイミングにいると、考えます。