価格上昇要因を「底上げ」と「個別」に分けて考える
物価高の主因とされる「原材料価格の上昇」に関連する、国際商品価格の価格動向を確認します。以下は、主要銘柄の新型コロナショック直後の2020年4月末から、2022年1月14日までの騰落率です。
図:国際商品価格の騰落率 (2020年4月末と2022年1月14日)
「ほぼ全部」高いことがわかります。エネルギー(原油・天然ガス)、農産物(コーヒー、菜種、綿花、大豆油、砂糖、大豆、生牛など)、各種金属(アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛など)、いずれも価格が上昇しています。
こうしたコモディティ銘柄の上昇は、日本にとっては「原材料高」になります。末端の製品やサービスに与える影響について、「底上げ」と「個別」に分けて考えると、より鮮明に状況が見えてきます。
図:国際商品価格が小売価格に与える影響(原材料が海外で生産されている場合)
原材料価格が上昇したことが、末端の製品・サービス価格上昇の主因なのであれば、自動車や電子部品、食用油、牛丼、ポテトチップスなどの価格上昇は、それぞれの原材料である、各種金属や鉄鉱石、各種農産物の価格上昇が主因、ということになります。
確かにその面もありますが、筆者はそれだけではないと考えます。「電力価格の上昇」と「輸送コストの上昇」による、「流通コストの底上げ」も、末端価格を押し上げる一因になっているためです。
電力や輸送に関わるコストが上昇すれば、流通段階におけるさまざまなコストは底上げされます。食料や各種サービスの価格上昇の多くは、「底上げ」+「個別上昇」という、2段構造で生じていると言えるでしょう。
「電力価格の上昇」と「輸送コストの上昇」の主因は、上図のとおり、エネルギー価格の上昇です。なぜ今、エネルギー価格が上昇しているのでしょうか。