ルービンの投資4則

 かつて米投資銀行トップ、クリントン米政権の財務長官を務めたロバート・ルービン氏が語ったとされる蓋然(がいぜん)性(≒可能性)思考は投資格言とされています。

 それは、(1)絶対確実なことはない、(2)不確実でも意思決定が必要、(3)決定は確率的評価に基づいて行う、(4)評価は、結果のみならず、プロセスも重要、と要約され、投資4則とも呼ばれます。

 金融プロとしては、日頃から行っている基本ですが、要は、確率的にあり得る複数のシナリオを常に比較衡量して、意思決定していきます。

 冒頭で述べたように、2022年の株式相場は「中間反落期+インフレ・金利の不確実性」という状況下で、相場シナリオの分岐が多発し錯綜する恐れがあります。

 それだけに、基本シナリオを忠実に守って当たり外れに賭けるといったものでなく、複数シナリオを柔軟に準備しておく必要があります。ルービン氏の4原則をしっかり踏まえ、基本シナリオ、複数のリスク分岐メニュー、さらにはあえて想定外シナリオも含めて、考えるべき場面と心得ます。

 もちろん、投資あるいは相場に、そんな労力を使う余裕もつもりもないという人も少なくないでしょう。そういう方は、筆者のような専門家の見方を時々チェックしてみてください。

 自分で考えて相場に挑みたい、楽しみたいという方はぜひご一緒に取り組みましょう。

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