世界と市場の基本軌道

 まず、世界と米国の経済と市場の基本シナリオに基づく軌道を整理しましょう。無理のない中庸な想定ではありますが、筆者の主観的確率の評価を多分に含んでいます。

経済

・世界はウィズコロナ禍でも正常化へ徐々に進む。
・米国の回復が先行し、欧州が一歩遅れ、日本はもたつきそう。
・中国は秋の共産党大会に向けて、経済を下支える。
・新興国は、米金利上昇とドル高で脆弱(ぜいじゃく)化するものの、後にドル軟化で薄日が差すか。

図2:米欧日GDP(国内総生産)の推移

出所:Bloomberg、田中泰輔リサーチ

物価

・今後3~6カ月は不透明な一方、需給ミスマッチはじわり改善、前年同月比のインフレ値抑制へ。
・ただし、基調的な商品・資源、賃金、帰属家賃の上昇によるインフレ高伸リスクを排除できない。

FRB

・当面タカ派傾斜。特に3月FOMC(米連邦公開市場委員会)以降は、市場で利上げ前倒し警戒が高まりやすい。
・年後半にインフレ小康の兆しがあれば、FRBは市場と利上げ動向について対話可能に。

債券

・2022年中3回の利上げで上昇する短中期金利が、長期金利を2.0%方向に押し上げ。

為替

・米金利高に沿ってドル高基調ながら、株価次第で折々反落も。後にドル指数軟化も。

商品

・基調しっかり。投機殺到で乱高下リスクも。