注目の中国株4:万科企業(02202)

 深セン証券取引所が発足すると同時に上場を果たした中国を代表する不動産開発企業です。深セン市の地下鉄を運営する深鉄集団が2017年より筆頭株主となっていますが、持株比率は27.6%です。“鉄道+不動産”といった発展モデルを支持するぐらいで、経営面では大きな関与はありません。

 営業エリアは深セン市に限らず、長江デルタ、珠江デルタ、環渤海湾といった中国3大経済圏や、中西部の重点都市に広く分布しています。2021年1~10月の不動産販売額は碧桂園(02007)に次ぎ第2位です。

 2021年1~11月の契約販売額は5,642億元で6%減、契約面積では3,458万平方メートルで14%減でした。2021年1-9月期の業績は12%増収、16%減益でした。

グラフ: 万科企業の月足

期間:過去5年(2017年~2021年12月20日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 株価は過去5年間で最も安い水準となっており、実績配当利回り(12月20日)は8.5%です。

 中国では1998年、住宅制度改革を実施、住宅の分配体制が全面的に停止され、市場化体制に変わったのですが、同社はこの大改革が行われる前から不動産開発を行っている業界の草分け的存在です。

 これまで創業者である王石氏(2017年6月、会長を辞任)の経営手腕が高く評価されてきました。民営の競合他社が利益率の高い高級物件の開発に力を入れる中、投機対象物件ではなく、庶民が住むための住宅の供給に力を入れることで長年、業界トップクラスの地位を確保してきました。

 2020年9月から始まった財務指標による厳しい規制については、中国海外発展同様、最初からクリアしています。経営方針は国家の方針に沿ったものであり、今後も、業界をけん引する企業であり続けると評価しています。

注目の中国株5:中信証券(06030)

 国家投資公司であるCITIC傘下の証券会社です。総資産、純資産といった規模においても、売上高、純利益といった収益においても、中国最大の証券会社です(2020年12月期決算データで比較)。

 もう少し細かいデータを示しておくと、顧客預かり資産、委託管理資産、ブローカレッジ収入でトップ、投資銀行業務収入、引き受け業務収入では中信建投証券に次いで第2位です。

 2021年1-9月期は38%増収、39%増益でした。本土市場が堅調に推移したことで、積極的に展開している資産管理ビジネスの手数料収入が大きく伸びました。また、自己売買業務、信用取引業務なども好調でした。

グラフ:中信証券の月足

期間:過去5年(2017年~2021年12月20日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 過去5年間の値動きは安定しています。実績配当利回り(12月20日)は2.4%です。金融緩和は証券市場にとって大きな好材料です。