個別材料を確認

 前ページでは、2022年に、2021年と同様の事象が起き、「脱炭素」が、コモディティ相場を幅広く底上げすることを前提として、金(ゴールド)と銀相場の予想レンジを示しました。

 ここからは、「社会全体」の流れをきっかけとした変動ではなく、「個別」の変動要因に、注目します。

図:想定される各銘柄の2022年の個別材料

出所:筆者作成

 金(ゴールド)も銀も、上昇要因と下落要因の両方が存在します。

 2022年は(年平均ベースで)上昇することを想定しているため、多くの時間帯で、上昇要因起因の圧力が、下落要因起因の圧力を相殺すると、考えられます。仮に価格が上昇したとしても、下落要因がなくなるわけではありません。

 下図は、金(ゴールド)の変動要因を、テーマごとに分類したものです。

図:金市場における6つのテーマ

出所:筆者作成

 12カ月間(数年・数十年ではない)という期間を考慮すれば、2022年に注目すべき3つは、(1)有事のムード(不安拡大時の資金の逃避先)、(2)代替資産(株や不動産などの代わり)、(3)代替通貨(主要国通貨の代わり)です。

 この3つのテーマに、各種リスク、インフレ懸念、暗号資産への懸念という上昇要因と、利上げ、テーパリング(金融緩和の段階的縮小)という下落要因をあてはめると、上図のようになります。

 利上げとテーパリング起因の下落圧力を、各種リスク、インフレ懸念、暗号資産への懸念起因の上昇圧力が相殺することが、想定されます。

 各種リスクについては、2022年は、新型コロナの変異株発生・ロックダウン開始、米中間選挙で波乱、米債務問題噴出、中東情勢悪化(イラン情勢など)、人権・格差問題拡大、ドルキャリー取引目立つ、などが想定されます。

 こうしたリスクが顕在化した時、資金の逃避先需要が増大し、金(ゴールド)が買われる可能性が高まります。