「何年で元が取れるか」という考え方から、PER評価が出てきた

「PER10倍は、PER20倍より割安」といっても、どういう意味か、少しわかりにくいですね。そこが、わかるように説明します。

 PER10倍は、「もし毎年同じ純利益が得られるならば、10年で元が取れる」という意味です。
株価が1,000円で、1株当たり利益が100円ならば、PERは10倍です。毎年100円の純利益を10年間得られれば、10年で1,000円の利益が得られます。投資元本(1,000円)と同額の利益を回収できるわけです。

 同様に、PER20倍は、「同じ利益を上げ続ければ、20年で元本を回収」という意味です。PER40倍は、「同じ利益を上げ続ければ、40年で元本を回収」という意味です。

 他の条件が同じならば、PER10倍が一番割安で、20倍が次に割安で、40倍が一番割高となります。

 以下【参考2】は、PERという評価方法が出てきた背景をさらに詳しく知りたい方のみ、お読みください。

【参考2】PERという評価方法が出てきた背景

 会社には、倒産リスクがあります。近年、上場企業の倒産は稀ですが、昔は、もっとたくさん倒産がありました。「何年で元が取れるか」という評価は、いつ破綻するかわからないリスクの高いビジネスに投資する際に重要です。PERは、投資元本を回収するのに必要な年数の目安を示しているわけです。
 株式会社は、16~17世紀のイギリスで誕生しました。イギリスからインドまで貿易船を出すのは、きわめてリスクの高いビジネスでした。途中で、船が難破する、あるいは海賊に襲われると、投資したお金がゼロになることもあります。その代わり、無事、航海を終えると、莫大な利益がもたらされました。
 そういうハイリスクのビジネスへの投資を、たくさんの投資家で分担する仕組みが、株式会社だったのです。そのようなハイリスク投資で、貿易船が何回無事に帰ると投資元本が回収できるかは、投資のうまみを知るのに重要な指標でした。
その延長線上に、現代の株式会社の評価もあります。したがって、欧米では、PER何倍かで、株価の割安度をはかるのが、普通となっています。