海運業は短期的に良いが中長期的な収益力に不安

 海運業は今、定期船の好調で、業績が急拡大しています。定期船、特に北米航路の需給ひっ迫が長期化しています。貨物量増加と市況上昇の恩恵の両方を受けて、利益が急拡大しています。ただ、この需給ひっ迫が何年も続くとは考えられません。北米で港湾作業やトラック輸送の遅れが常態化していることが需給ひっ迫長期化の要因です。ただし、時間はかかってもいずれ異常状態は解消に向かうでしょう。好況と不況の落差が大きい海運業なので、需給解消が進めば、定期船市況が急落する可能性もあります。

 また、不定期船については、まだ船腹過剰が完全には解消されていません。海運業界の過当競争体質は変わっていないので、短期的に好調が続く海運業界ですが、中長期的な収益力には依然として不安があります。

 海運業の好調は想定以上に長引く可能性があるので短期トレーディングベースでの投資は可能と思います。ただし、「BUY&HOLD(買って放っておく)」の長期投資対象とするのは適切でないと思います。海運市況が急落する時には、利益確定・損切りにかかわらず、売却する用意が必要と思います。